【視察報告】郡上の目立て事情を探る(帯鋸目立て調査)
木造建築専攻2年の畑佐です。
課題研究の一環で、9月24日(木)、郡上市白鳥町で製材に関わる3社(株式会社金山住建・白鳥林工協業組合・美濃建築製品センター株式会社)を訪ね、郡上地域の帯鋸目立て事情についてお話を伺いました。その一部をご紹介します。
最初に伺った株式会社金山住建では、数年前にアカデミーエンジニア科を卒業された金山さんが対応してくださいました。会社はもともと金山製材として創業し、現在は建築工事や大工工事を中心に事業を展開しています。
製材機は富士製作所という製材メーカーの非常に年季の入った型を使用していました。
目立ての頻度は2週に一度ほどと高くはありませんが、定期的に原木を買い付け、自社で使用する木材のストックなどを主に挽いています。

(金山住建:富士製作所の製材機)
郡上では長年地域を支えてきた目立て屋が突然引退し、近隣の製材所が一斉に目立て難民となった時期があります。
そこで製材所同士が協力し、各務原の目立て屋に週2回の集荷・配達を依頼する体制を整えたと伺いました。
地域の事業者が連携して課題を乗り越えた事例として印象に残りました。

(金山住建:ほかの製材所から頂いたという穿孔帯鋸もありました)
次に伺った白鳥林工協業組合では、石ヶ谷総務部長に案内していただきました。
組合は昭和44年に地元の製材業者4社が集まって発足し、現在は杉パネルを主力商品として製造・加工を行っています。

(白鳥林工:帯鋸ストック)
製材機の稼働は週に一度あるかないかという頻度ですが、新しい目立て屋に変わってからは、製材時の切削音、挽き曲がり、材面の仕上がりといった部分にわかりやすく変化を感じているそうです。
目立ての技術の違いが製材品質や作業効率に関係することを改めて実感しました。

(白鳥林工:スギパネルの加工工場も見せていただきました)
最後に、美濃建築製品センター株式会社に伺いました。
伐採から製材・加工・乾燥まで一貫して行うことで、郡上市の地域材流通を支えています。天然乾燥と遠赤外線除湿乾燥機を併用し、木の香りや色を損なわない乾燥方法にこだわっている点が印象的でした。

(美濃建築製品センター)
対応いただいた田中社長からは、郡上の杉の特徴や地域材を生かした製品づくりについてなど、興味深い話をたくさん伺いました。
その中でも「製材所は地域に一社は必ず必要」という言葉が特に心に残りました。
大規模な製材所だけでは扱いきれない材が必ずあり、森の近くに小規模でも製材所が存在することは、地域材を生かすうえで欠かせない役割を果たしていると感じました。
帯鋸目立ての研究にも期待していると言っていただき、大変励みになりました。

(美濃建築製品センター:製材の様子)
また、3社はすべて同じ目立て業者が担当していますが、それを踏まえて工場内を見学する中で、帯鋸の仕立て方に大きく違いがあることに気づきました。
特に素人目でも分かりやすいのが、ヒートテンション(腰入れ)と呼ばれる作業で現れる黒い線の入り方で、4本入っているもの、1本だけのもの、まったく入っていないものなど、さまざまな状態が見られました。
製材機ごとに腰入れや歪み取りを変えているのか、そのあたりのこだわりはぜひ目立て屋さんに直接聞いてみたいと思いました。
これまで、同じ目立て業者が担当する複数の製材所を一度に見て回る機会がなかったため、こうした違いに気づけたこともとても新鮮でした。

(ヒートテンション(腰入れ)の仕方が3社3様)
さらに、3社に共通していた課題として「機械屋の不足」が非常に深刻であることがわかりました。修理が来ないと製材が止まってしまうため、この白鳥地区においては現在、目立て以上に深刻な問題だと感じました。
今回の3社視察を通して、郡上では製材関連会社が連携し、帯鋸目立ての危機を一時的に乗り越えた一方で、長期的な課題が依然として残っていることがわかりました。
ただ、一度「目立て難民」を経験したからこそ、技術習得や人材育成に向けた前向きな姿勢が生まれており、地域として製材を続けていこうとする意識の強さを感じました。
私自身も励ましをいただき、今後の研究を続けていきたい気持ちがさらに強まりました。
みなさま、お忙しい中、ご丁寧に対応いただきありがとうございました!
木造建築専攻 畑佐