活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2026年09月14日(月)

林業事例調査2026(3日目:銘建工業株式会社)

 3日目は真庭市にある銘建工業株式会社を見学しました。銘建工業さんに到着すると、同社の主力製品である集成材やCLTをふんだんに取り入れた木造建築の事務所に案内されました。集成材とは小さな木材を繊維の方向を揃えて接着した木材で、CLTはCross Laminated Timberの略で木の繊維の方向を直角に交わるように重ねて接着した木材のことです。事務所は独特な構造と木材の暖かさに包まれた魅力的な建物です。見学時にいただいた資料を拝見すると、この建物は2020年に竣工され、デザインから建設まで社員の方々が行ったそうです。建築構造の実験や、建て方の検討、建設後の気密性能評価試験も一から検討されたそうです。

 銘建工業さんは構造材事業、木質構造事業、バイオマス事業の3本柱を掲げ、木材を使い切ることを大切にされている企業です。集成材やCLTの生産における国内トップのメーカとしても有名です。本社事務所で会社概要を伺った後、集成材の製作工場、バイオマス発電設備、CLT工場の順に見学させていただきました。

 集成材の製作工場では材料の投入から完成までの一連の工程を見学させていただきました。集成材にすることで大きな木材が比較的安価に得られます。また、強度や品質が安定する特徴があります。身近なところでは、昨年閉幕した関西万博の大屋根リングや日本館の材料として使用されました。

集成材は様々な性質を持った木材を組み合わせるため、材料の外観の検査や強度検査が厳しく行われていました。作られる製品のサイズも様々で、生産の大変さを感じました。

 次に見学したのはバイオマス発電設備です。ここでは工場から廃棄される木片や木くずをエネルギー源として活用し、ほぼ年中無休で発電を行っています。設備の最大出力は4990kWで、日本の1世帯が1年間に消費する平均電気エネルギーの約11000世帯分2)になります。真庭市の世帯数は17325世帯なので、市内の約64%の世帯の電力を賄っている計算になります。すごい!これは、良質な木質バイオマス資源を使用しているからこそ実現できるそうです。生産ラインから排出される廃棄物は丁寧に集められ、バイオマス発電設備へ運び込まれる仕組みが整えられていました。銘建工業さんの木材を使い切ろうという意気込みを感じました。

 最後に見学したのはCLT工場です。CLTも強度や品質に優れていることが特徴です。他にも木材の中の空気の層が断熱材の役割をする特徴があります。その性能はコンクリートに比べて10倍にもなるそうです。さらに、設計をしっかりと行えば、高層建築物にも使用できる耐火性能を持っているそうです。近年では大型木造建築用や家具の材料、土木資材としても使用されています。

 木材をCLTに加工することで、木材は活用の幅が広がります。銘建工業では設計から施工まで一貫して支援する体制を整えており、木材に詳しくない方でもCLTを活用した建築物を建てることが可能です。今よりもっとCLTが認知されて活用されるようになれば、小径木の活用の幅が増えるだけでなく、木材生産の現場にも刺激になると思います。今後、CLTがもっと普及し、木材の利用が進めば、持続可能な木材の循環が進むようになるのではないかと思いました。

2)算出根拠

環境省家庭部門CO2排出実態統計調査より1世帯が1年に消費する電気エネルギーの全国平均は3911kWhと仮定する。銘建工業のバイオマス発電設備の発電端出力は4990kWであるから、

(4990[kW]×365[日]×24[時間])/(391[kWh/])=11176≒11000世帯

したがって、年間11000世帯分の発電量になる。