木工専攻
卒業生の進路

池冨士 裕

家具工房を起業し、地域の木の活用を目指す

 

池冨士裕さん

プロフィール

1985年生まれ 兵庫県西宮市出身 16期生
滋賀県立大学を卒業後、静岡県浜松市の住設メーカーで商品開発などを経験。
森林文化アカデミーを卒業後は岐阜市の家具工房で製作スタッフとして働く。
2023年9月に愛知県岡崎市で家具の設計製作を行うpondを開業。
instagram : pond.furniture

 


質問1)今の仕事内容を教えてください

愛知県岡崎市北部の奥殿地区で家具工房を営んでいます。街から程よい距離で低山に囲まれた山への入り口といった雰囲気の場所です。個人のお客様や設計事務所など法人のお客様からのご要望を受けて家具や木製品の設計と製作を行う他、オリジナルの家具や小物の販売も行っています。

今後の目標としてものづくりと山に関する企画なども行いたいと考えています。

池冨士裕さんの工房

愛知県岡崎市の池冨士さんの工房

質問2)今の仕事で大変だなと思うことと、やりがいを感じることを教えてください。

1人で活動しているので手が回らずもどかしい思いをすることもありますが、自分のペースで好きなように動けるのであまり大変さは感じていません。しいて言えば話し相手がいないのでたまに寂しさを感じることです笑

月並みですが納品時に喜んでもらえることが一番のやりがいです。直接表情を見て感想を聞けるのは個人工房の醍醐味だと思っています。

池冨士裕さんの工房内

質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?

アカデミーで経験した課題に対する働きはまだできていませんが、山のことや木材のことを家具と一緒に渡していければと思っています。

木工屋や建具屋が大幅に減少している昨今、建具の補修を頼む場所が分からなくて困っていたとか、牛の寝床に敷くオガコの提供先が減っていたから助かったといった話を伺い、地味なことですが思いよらないところで貢献できていることを知りました。

池冨士さんがデザイン・製作した小物や家具

池冨士さんがデザイン・製作した小物や家具

質問4)アカデミーに入学を決めたきっかけは何ですか?

メーカーでのものづくりと違う役割のものづくりをしてみたいという好奇心から木工技術を身に付けたいと考えていました。木工業界だけでなく広い視野で前後左右の業界も知りたかったし、一般的な木工技術プラスαを見つけられるのではないかと思いアカデミーに決めました。

 

質問5)アカデミーの学びで役に立ったことは何ですか?

木のこと山のこと林業のこと製材のこと樹種のことそれらの繋がりのこと、設計製作時だけでなく何かを構想する際の視野が広がり選択肢が増えたことです。

授業でいえば商品化、事務局カウンター製作、学長椅子プロジェクトなど製作系の経験は直接役に立っています。授業外でも放課後グリーンウッドワーク部、木工作家工房でのインターン、外部講師による曲木実習、学生だからできた各地工房見学などで様々な木材加工方法を知ることができました。集大成として実施した課題研究(20種の雑木で小椅子を製作)はとても楽しかったし有益なことでした。

在学中に森林文化アカデミー・涌井史郎学長の椅子を製作

在学中に森林文化アカデミー・涌井史郎学長の椅子を製作

課題研究で20種類の雑木で小椅子を製作

課題研究で20種類の雑木で小椅子を製作

質問6)専門分野以外の授業やプロジェクトで、役に立ったものはありますか?

エンジニア科の「樹と木材を知る」という授業です。面白そうな講義をやっているなと思い、クリエーター科なのに頼んで参加させてもらったことがきっかけで雑木や民具という長く興味を持てるものに出会えました。

池冨士さんが出版した小冊子

様々な樹種の性質や特徴を比較し、課題研究としてまとめたものを、卒業後に小冊子として出版

質問7)アカデミーの学生生活で印象に残ったことは?

やりたいと声を上げれば教員や学校がサポートしてくれたことです。個人ではとても所有できない設備や機器が充実しているし、図書室などにはなかなか手に入らない資料も豊富です。教室を一歩出ればフィールドワークできる山があって、様々な横のつながりもある。現地現物現実を学び実践する場としていい環境だったと思います。

他にも同期と雑木回収や工房訪問したり、先輩に相談したことなどよく覚えています。

 

質問8)アカデミー入学前の仕事が、今に活きていると感じることはありますか?

長らく前職の経験をあまり活かせていないと思っていましたが、設計や製図や建築との兼ね合いなど実務のことで壁という壁に当たった覚えがなく、前職の経験が活きているのだろうと独立してから思い至りました。

 

質問9)今の仕事をしていく上でのモットー、若い人へのメッセージは?

目標に向かってもしくは目標を見つけるため、ゆるく真剣に頑張りすぎず頑張っていきましょう。