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2025年11月11日(火)

【‘25秋 木工事例調査②】ラ コリーナ近江八幡と近江八幡旧市街

木工やものづくりの事例見学をする木工事例調査。今回は1泊2日の行程で、滋賀県へ行ってきました。その時の様子を森と木のクリエーター科木工専攻の学生がレポートで紹介します。

 

今回の木工事例調査は色々とイレギュラーな事もあり、木工事例調査?と思われるかもしれませんが、何卒ご容赦ください。

 

まずはラ コリーナ近江八幡(以下ラ コリーナ)について。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらは和菓子のたねや・洋菓子のクラブハリエのフラッグシップ店舗です。

最も特徴的な【草屋根】と呼ばれるメインショップの建物は、岐阜県では多治見モザイクタイルミュージアムを手掛けられた、建築家の藤森照信氏の設計です。

“⾃然に学ぶ”のコンセプトのもと、人々が集う繋がりの場づくりとして、広大な敷地内にはたねや・クラブハリエの本社をはじめ、先のメインショップ、フードコート、バウムクーヘンの工場、そして田んぼや畑なども併設されている複合型施設となっています。


参照:ラコリーナ近江八幡HPより

 

 

敷地内には山野草や、近江八幡の象徴ともいえる〈八幡山〉につらなる森を目指し、山で拾ったどんぐりから育てた苗木も植えられています。長期的な計画での森づくりがプロジェクトとして行われており、訪れた人が植樹を行える森づくりの体験ツアーも用意されているそうです。そのような様々な取り組みから、ラ コリーナは環境省の自然共生サイトとしても認定されています。

 

訪問してみて木工目線で気になった所をあげますと、まずは〈たねや〉エリアの壁面にずらりと並んだ和菓子の木型の数々。とても繊細な細工が施された型は、見ていて飽きませんでした。個人的に良かったのが、写真の千利休のものです。人物が描かれたものは初めて見ました。

そしてもう一点が、〈栗百本〉という建物で、随所に使われている栗の木です。長野県の御岳山の栗の木144本も用いているとのことで、建物の構造部分に加え、建具やベンチなどにも栗の木が用いられていました。統一感があり、上品さと素朴さが同居する様な空間で、人の往来は多いものの、落ち着く雰囲気に感じられました。柱などは一見して名栗(なぐり)加工がされているのですが、よくよく見ると手斧(ちょうな)による手加工ではなくて機械加工だね、といったことも先生から教えていただきつつ、じっくりと見学してきました。

 

ラ コリーナを後にして向かったのは、近江八幡旧市街です。

近江八幡は琵琶湖の東側に位置する城下町で、16世紀に豊臣秀次によって整備されました現代で活躍する様々な有名企業のルーツとなった近江商人を輩出し、商業都市として栄えました。現在、2年に1度開かれている国際芸術祭【BIWAKOビエンナーレ】の会場にもなっているという事で、お昼休憩を兼ねて訪れました。重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている風情ある町並みは美濃の町並みともまた異なる雰囲気で、住んでみたいなと感じる程、とても魅力的でした。

ビエンナーレの展示は正直なところ時間がほとんどなく、じっくりと見て回ることはできなかったのですが、古い町並みや建物に対し現代的な作品が展示されている様子は不思議な雰囲気を醸し出しており、町全体が美術館の様でもあり、美濃の町並みでも新たなことができるのではという可能性を感じる見学となりました。

木工成分がやや少な目なレポートとなってしまいましたが、近江八幡の自然の豊かさや大らかさ、懐の深さを感じられ、機会を改めてまた訪れたいと思いました。

 

森と木のクリエーター科 木工専攻2年 浅野由佳梨