【‘25夏 木工事例調査⑤】檜創建株式会社
中津川市を訪問して行った木工事例調査の2日目。最初に訪問したのは木製浴槽のメーカー、檜創建株式会社です。その時の様子を学生がレポートで紹介します。
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中津川市坂下にある檜創建株式会社を見学させていただきました。檜創建は1993年創業で檜風呂を中心とした木製浴槽の企画、製造、施工を行う浴室総合プランナーです。今回は営業部長 堀内辰実様より会社の説明をしていただきました。
木風呂の素材は木曽檜(きそひのき)、高野槙(こうやまき)、青森ヒバを主に使用しており、まず木曽檜と中津川周辺で一般的に使用される東濃檜(とうのうひのき)の違いを教えていただきました。
木曽檜は林野庁管轄の天然林材で、東濃檜は主に東濃地域で植林された人工林材です。浴槽の材料としては木材の目(年輪)が詰まっているものが向いており、東濃檜は目が荒く木曽檜は目がよく詰まっていることから浴槽には木曽檜が使用されています。
浴槽は国内の施設だけではなく、海外も幅広く展開されていました。海外向けは施設よりも個人宅向けが多く、入浴文化がない国に対してどうアプローチしていくかが大変だとおっしゃっていました。また、販売、製造に留まらず様々な企画展への出展、展示場設置などで木浴槽の魅力を発信していらっしゃいます。
製品を紹介していただく中で、O-Bathシリーズという丸みを帯びた浴槽に驚きました。本来であれば丸型浴槽は金属製バンドの「タガ」を使って固定していますが、独自の技術により「タガ」を使用しない構造になっています。その他にもシステムバスや介護浴槽と様々なものがあり、社会のニーズに応える製品が目立ちました。
工場を見学させていただくと職人によって丁寧に製作されており、曲線部分は手鉋で仕上げていました。こういった人の手による高度な技術と素材のこだわりによって、より良い製品ができていくのだと実感しました。
展示室では実際の製品を見学させていただきました。
みな口を揃えて「自宅にあったらいいのに」と言っており、やはり木の浴槽が人に与える影響は強いと改めて思いました。
最近は外国人観光客が増え、日本の木の浴槽に触れる機会が増えました。これから更に注目されると思われます。檜創建の高い技術とデザインが多くのお客様に選ばれる理由だと改めて感じました。
檜創建のコーポレイト・アイデンティティである「自然と暮らしを つなげる企業へ」は木の浴槽を通じて自然と一体となり、人間は自然の一部であると考える人々を増やしていくことと感じました。私自身檜風呂が好きで、一度入れば全て浄化されまるで自然に還ったような感情を抱くので、この理念には非常に賛同しました。浴槽、浴室だけでなく人々の心の豊かさも作り上げていくまさしく総合プランナーだと感じました。
最後になりますが、お忙しい中対応していただきました皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
クリエーター科
木工専攻1年 石井友太