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2019年04月20日(土)

新居浜市ウッドスタート宣言

この春、新居浜市が地域として木育活動に取り組む「ウッドスタート」を宣言しました。その第1弾の事業として、地域産材のヒノキで作られた木のおもちゃが地元の子育て家庭に贈られました。

新居浜市誕生祝品贈呈式

新居浜市石川市長と東京おもちゃ美術館多田館長から木のおもちゃをプレゼント

地方自治体のウッドスタートにアカデミーが協力

今回の誕生祝品は東京おもちゃ美術館と本校教員が協働でデザインと監修を行いました。式典当日は東京おもちゃ美術館の多田館長と本校の前野講師が参加しました。

おもちゃのデザインには、地域への愛着を育むことと同時に子育て環境の中で地元の木に触れてもらいながら、親子のコミュニケーションを育んでもらうことを第一に考えました。そして、地域の木材を活用するための仕組み作りや地域の企業の特性に合わせた分業方法などもデザインに反映しておもちゃ作りの計画を進めました。

おもちゃの製作を担って頂いたのは、普段は建材を生産している別子木材センター。そして木工製品の製作を行っているスミリンウッドピースという地元の企業です。

実は木工に関わる企業であっても、木のおもちゃを作るのはとても大変なことです。例えるならお寿司屋さんに行ってフランス料理を注文するようなイメージでしょうか。そんなことをしたら普通は「お客さん、それ無茶苦茶じゃない」と言われますよね。

新居浜市ウッドスタートの製作者3人で写真撮影

新居浜市のおもちゃの製作に関わった3者で記念撮影

今回式典でお会いした別子木材センターとスミリンウッドピースの方には「最初はこんな苦労をするとは思いませんでしたよ(笑)」と言われてしまいましたが、本当に難しい課題に真正面から取り組んで頂き、感謝しています。ウッドスタートは今、多くの自治体が実現に向けて動き出そうとしていますが、地域材でおもちゃを作るのは実はとても大変なのです。

スミリンウッドピースでおもちゃを製作しているところ

式典後にスミリンウッドピースを訪問し、製作現場の課題についてもヒアリングをしてきました

新居浜市では年間約1000人の赤ちゃんが生まれるため、毎年1000個のおもちゃを作っていくことになります。今回のおもちゃは市有林から伐採した地域材で作りましたが、今後は新居浜市内に山を所有する住友林業とも協力しながら材料を出せるよう協議しているそうです。アカデミーはこれからも東京おもちゃ美術館、新居浜市と連携しながらおもちゃ作りのアドバイスを続けていく予定です。

おもちゃだけではなく地域をデザインする事業

ウッドスタートへのアカデミーの関りは、外に見える部分は「おもちゃ作り」です。しかし、おもちゃを作る過程で地域のプレイヤーの連携を調整したり、地域材を活用する仕組みを作り上げなければ地域材のおもちゃは完成しません。おもちゃを作るプロセスの中で、地域の木育連携の仕組みをデザインしているのです。

いま、地域材の活用が大きな課題となっています。アカデミーでは教員や学生が現場で関わりながら地域材の活用や木育の活動の実践に取り組んでいます。

いま地域をデザインできる作り手が求められています

地域の木材を有効に使えるようになりたい。地域で木育の活動がしたいと考えている人はぜひアカデミーのクリエーター科へ。今、この分野での人材が求められています。アカデミーはそのような人材育成にも積極的に取り組んでいます。(今回新居浜市で完成したおもちゃの検品にはアカデミーの木工専攻の卒業生が担当しており、製作のアドバイスやおもちゃのクオリティ管理に携わっています)

地元テレビ局が取材に来てくれました。リンク先から動画でおもちゃが見られます

木工専攻 講師
前野 健