「大工合宿」1mmの精度が問われる「刻み」と「仮組み」(自力建設2025「紡木人」)
大工合宿の後半戦がスタート。9月4日からはいよいよ部材の刻みに入りました。
ここからはエンジニア科・林産業コースの4名も加わり、総勢10名体制での作業となります。
今回も、大工の鈴村さん、瀬尾さん、森下さん、そして卒業生の坂井さんにご指導いただきながら、一つひとつ丁寧に刻みを進めました。
刻み作業では、丸ノコや手ノコ、鉋(かんな)、鑿(のみ)、玄能(げんのう)などの道具を使い、前回の墨出しを頼りに継ぎ手や仕口を正確に加工していきます。
例えばこの道具は、角のみという電動工具で、ほぞ穴をあける際に使用します。
このほぞ穴の加工と、鑿(のみ)による仕上げ作業は、エンジニア科の学生4名が中心となって行ってくれました。
とても頼りになる4人で、本当に助かりました!
合計32本ある方杖の刻みは、すべてが斜めの加工となります。初めて使う丸ノコで、フリーハンドによる刻みに挑戦するという、ある意味チャレンジングな体験となりました。
また、今回最も難しかったのが、合計8か所ある桁材の「追っ掛け大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)」の刻みです。
追っ掛け大栓継ぎとは木造建築における最強クラスの継手手法で、材端部を相欠きにし、鎌状のあごをつけて嚙み合わせることで地震などの強い力に対しても強度を発揮させることができます。
加工には1mm単位の精密な加工技術が要求されます。何度もやり直しながら、正確に墨付け、刻みを繰り返しました。
最終的には、材同士が隙間なく密着するよう、すべり勾配の角度や鎌の深さを細かく調整し、ようやく理想的な噛み合わせに仕上げることができました。
大工合宿もいよいよ最終日。最後の関門となる「仮組み」に挑みます。
仮組みとは、これまでに刻んだ部材を実際に組み立て、寸法や接合具合を確認する工程です。
ほぞ穴とほぞ、仕口を合わせ、両方向から掛矢(かけや)を使って打ち込みながら、材同士の噛み合わせを確かめていきます。
これまでの刻みが正確かどうかを確かめる最後の工程。
ほぞの噛み合わせや仕口の通りがぴたりと合うか、緊張感のある瞬間でした。
材がぴたりとはまったときの感触は、何とも言えない達成感がありました。
初めてのことばかりで大変でしたが、多くの学びがありました。
ご指導してくださった、大工さん、坂井さん、匠先生、また、差し入れや写真撮影など、たくさん応援してくださった二年生の先輩方も本当にありがとうございました!
木造建築専攻1年 畑佐 向日葵