「大工合宿」始まる。誤差許されないシビアな世界「墨付け」(自力建設2025「紡木人」(tsumugito))
自力建設プロジェクトの恒例行事「大工合宿」が8月26日、東濃ひのき製品流通協同組合(白川町)で始まりました。今年度の自力建設「紡木人」(tsumugito)で使う構造部材を同組合に搬入し、この日と翌27日の2日間で部材を加工するための印を付ける墨付け作業に取り掛かりました。墨付けは少しでも誤差があると部材同士を組めない不具合が生じるシビアな世界。職人の緻密で繊細な仕事を肌で感じる2日間になりました。「大工合宿」はこの後、9月上旬に2回(各3日)に分けて行われ、次回からは部材を加工する「刻み」が始まります。(「大工合宿」は、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年以降、合宿形式ではなく通いで実施されています)
「大工合宿」初日は、東濃ひのき製品流通協同組合に集合し、大島和之参事とアカデミー卒業生でもある職員の坂井梨奈さんに挨拶した後、ご指導いただく大工さんと対面。今回お世話になる大工さんは、鈴村晃宏さん、瀬尾英臣さん、森下利幸さんの3人です。
各自自己紹介を済ませ、棟梁の奥村千里さんが「紡木人」の概要を説明した後、作業に入りました。
作業はまず、用意した柱や桁などの部材を並べてそれぞれ「紡木人」のどの箇所にどの方向で使用するかを決める「番付」に取り掛かりました。その際、材の元口と末口の見分け方として、枝の節の幅が太い方が元口側(枝の重さを支えるため太くなる)といった目から鱗の豆知識も教わりました。
その後は、曲尺(かねじゃく)を使った垂直線の引き方や通り芯の印を付ける際に使う「墨つぼ」の扱い方を教わり、各自図面を開いて部材に墨付けをしていきます。墨付けは1ミリでも誤差があると部材を組み上げられないといった不具合が出るため、芯を尖らせた鉛筆で慎重に線を引く必要があります。学生同士で寸法を確認しながら、ズレがあればその都度修正して作業を進めました。2日間で柱材の墨付けの目途は付きましたが、最大の山場である、桁材の「追掛大栓(おっかけだいせん)継ぎ」の墨付けは次回に持ち越しとなりました。
9月4日からスタートする次回の「大工合宿」にはエンジニア科2年の学生4人も参加してくれる予定で、いよいよ部材を加工する「刻み」が始まります!
木造建築専攻1年 坂巻陽平