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2025年06月29日(日)

【視察報告】銘建工業㈱を視察しました(①CLT工場編)

岡山県森林研究所木材加工研究室(前回ブログ参照)に続いて、同じく岡山県真庭市にあります「銘建工業株式会社」様を視察訪問させていただきました。

銘建工業さんは、CLT・集成材の製造や木造建築物の設計・施工、バイオマス発電を手がけている企業であり、その規模は日本屈指の大きさになります。
今回は、開発部の渡部さんが会社を大変丁寧にご案内いただくことができましたので、その一部始終をお伝えします。

 

「銘建工業」という会社名を聞くと、木材や木造建築に関わりのある方は、まず「CLT」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
CLTは、ラミナ(ひき板)の繊維方向が層ごとに直交する積層接着されたパネル形状の建築材料です。銘建工業さんは、この構造用CLTの国内製造でトップシェアを誇ります。
今回は、そのCLT製造工場の視察についてレポートします。

銘建工業さんのCLT製造工場は2か所あります。一つはラミナからパネルにするまでの工場、もう一つは、そのパネルを物件に合わせた形状に加工する工場です。

まずは、前者のパネルを作るまでの工場からお伝えします。
CLTパネル製造工程は、ラミナ材の乾燥→等級区分(必要な強度を満たしたラミナ材であるか仕分ける作業)→切削(ラミナの寸法出し)→フィンガージョイント加工(縦継ぎ加工)→積層→圧締になります。
銘建工業さんでは、最大で幅3m長さ12mのパネルの製造ができ、そのための大型の製造機械が稼働しており、その様子はじつに圧巻でした。

写真1:パネル製造ラインの様子

写真2:巨大プレス機

写真3:フィンガージョイント加工工程         

写真4:積層工程

銘建工業さんのパネルは、サイズにかかわらず、表面が非常に平滑であり積層面もしっかり接着されています。それは、ラミナの切削精度が非常に高いことが由来しています。その切削精度は、接着性能や平滑さに大きな影響を与えます。だからこそ、その切削に使う刃物の研磨は、外注せずに自社で行い管理している徹底ぶりです。品質に対するこだわりを強く感じる一面でした。

写真5 切削精度の重要性を力説する渡部さん

写真6 圧締後のCLT平滑な表面

写真7 高い仕上がり品質に感心する石原先生

写真8 長手方向が弱軸の特殊なパネル

続いて、パネルの加工をする工場ですが、こちらには、立派な大型プレカット機(ドイツ製 フンデガー)がありますが、機械化が難しい接合部の加工は、職人さんが丁寧に手作業されていました。大きな工作機械が並ぶ工場でも、最後は人の技術と技能で高い品質に仕上げられており、CLTは、人の血が通った建築材料であることを感じた瞬間でした。

写真9:大型のプレカットマシン

写真10:職人の方々の手加工場

今回のレポートはここまでです。次回は、銘建工業さんのもう一つの主力製品である集成材の製造工場の様子をレポートします。

 

木造建築専攻 増岡