【授業報告】木材乾燥の実習を行いました
今年もですが・・・
エンジニア科林産学コース、クリエーター科木造建築専攻の共通科目「木材学入門」にて、「木材乾燥」の実習を行いました。
まずは、森林研究所の田中主任研究員に蒸気式乾燥機の説明をしていただきました。
乾燥機の中で、その仕組みについて説明してもらいました。
続いて、乾燥させる製材(今回は主にヒノキを用意しました)の乾燥前の状態(重量、割れの状況、含水率、ヤング率など)を把握します。
含水率計は、現場でよく使用される高周波容量式に加えて、マイクロ波式のものも用意しました。
材料の表面と内部での含水率の違いがよく理解できたかと思います。
木口面にシリコンを塗布したものも何本か用意してみました。
いよいよ窯入れ。
通常の高温乾燥の乾燥スケジュールには「(昇温)蒸煮」「高温セット」「中温乾燥」の3段階が含まれていますが、今回は実験的に「蒸煮」をほぼ省略(通常8時間のところを30分のみ処理)し、「高温セット」の時間も短めにして(通常18時間のところを10時間)て乾燥させてみました。
こうしたイレギュラーな乾燥スケジュールを試せるのも授業ならではです。
そして、約一週間後・・・窯出しの瞬間です。
木材を1本ごとに観察し、割れの状況などを観察してみます。
どういう箇所に「割れ」が生じやすいのか・・・
これは、乾燥作業を体験してみないと理解できないことかも知れません。
今回は「蒸煮」をほぼ省略しましたが、割れについてはおおむね防止することができたようです。
授業のスケジュールの都合、乾燥スケジュールにおける「中温乾燥」の時間は十分にとれませんでした(正角材で通常120時間のところ90時間)。
そのため、梁の一部では含水率が高いままのもの(重量が乾燥前後であまり変わらないもの)もありました。
実習の最後は、乾燥材と未乾燥材の「たわみやすさ」の違いを体験してみました。
さて、実は木材の乾燥作業はかなりの力仕事です。学生の皆様、乾燥作業お疲れ様でした。
(※今回の実習で乾燥させた木材は、今年度の「自力建設」で利用されます。)
最後になりますが、(今年も)乾燥作業のご指導をしていただいた、森林研究所の田中主任研究員に深謝致します(・・・来年もよろしくお願いいたします。)。
講師 石原 亘