「紡木人」樹状トラス① ~全体の構造~(自力建設2025)
こんにちは。今回は紡木人の樹状トラスについてのお話です。
紡木人では敷地背後の木々と連続しつつ、チェーンソーを練習している人が建築と共によりかっこよく見えるように樹状トラスの架構としています。木の架構自体がデザインであるため、構造の検討と方杖の位置や角度、練習時の使い勝手のバランスを繰り返し検討しました。

(モデル撮影 En科メンバーモデル協力ありがとう!竣工式で伐倒大会するのが楽しみです)
輪切り練習、伐倒練習、合わせ切り練習、設置輪切り練習、枝払練習と授業やチェーンソー競技の様々な練習に使えるように、中央はなるべく広く6m以上確保して3人~4人が使用できる柱スパンとしています。施主の杉本先生、チェーンソーを練習する学生たちから、横方向の移動も可能にしたいとの要望もあり、短辺方向に通り抜けできてかつ構造的にも成り立つ架構を成り立たせるにはどうすればいいか、とっても悩みました。上手くいかなすぎて暇さえあればずっとスケッチかいていたな、笑。そうこうして、両側に一部台形の壁をいれて強くしつつ、通りぬけできるように方杖と組み合わせていくことに!壁部分には棚を設置し両脇部分に休憩スペースを確保して、構造と意匠と使用性のバランスをとっていきました。匠先生がいつも言っている「強用美」だなとしみじみ。設計の難しさであり、面白さでもあるなと思いました。また方杖の断面寸法についてですが、枝が先にいくにつれて細くなっていくように、120角の柱から枝分かれするにつれて材を105角、90角と15mmずつ小さくしています。

(斜面側は高さを考慮して方杖を少なく、道路側はチェーンソーをする人が映える設計にしています)
そして構造の検討ですが、今回は三次元骨組構造解析を行いました。柱・方杖・桁・登り梁を線形におきかえて、座標を入力して材をつなげていきます。はじめは座標の入力がずれて、直しを繰り返してとすごく時間がかかったのですが、コツをつかむとだいぶ早く入力できるようになりました。
構造モデルができたら、このモデルに地震力や風圧力を入力してどのくらい変形するかを求めます。今回地震力は0.3W(W=h/2以上の建物重量)で建物重量の30%の水平力がかかったとき、風荷重は美濃市の基準風速V₀=32㎧の暴風時を想定して検討を行いました。
これは建築基準法上の1.5倍の耐震性能を基準に、それ以上の強度になるよう計算していることになります。

(風荷重は見付面積、重量は材積で拾っていきます!)
方杖の本数、断面の大きさ、接合部強度の検討を繰り返して、今回は層間変形角δ/h(層間変位/軒レベル)が1/150以下に納まるように設計しました。層間変形角は例えば西側より0.3Wの地震荷重8682Nを加えた際に、層間変位δ=8.11mm、桁の高さはh=2350mmなのでδ/h=8.11/2350=1/289となり1/150より小さい変形で納まっていることがわかります。これを各方位から荷重与えて確認していきました。

(南北の風による変形がなかなか厳しかった、、)
解析結果から柱脚部分(柱の足元部分)にかかる最大の引抜力を確認して、それ以上の耐力のある金物を納まりと意匠性とあわせて設定します。接合部の検討と合わせて、木の部材自体が壊れないかのチェックも合わせてしていきます。

(独立柱はなるべくシンプルに魅せたかったためDボルトを採用!)
木造では鉄骨造のように溶接したりするわけではないので、接合部の強度が柱や梁の部材の強度に対して小さくなります。そのため接合部の設計はとっても大切!接合部の強度が柱や梁の部材の強度に対して小さくするための解析モデル化の1つに「半剛節モデル」があります。今回は実態に近いモデル化をするために、この半剛節モデルにて解析を行いました。下図では120角の柱の柱脚部にホールダウンをつけた場合の半剛節の計算を記載しています。壁がくる柱には21kNのホールダウンを使用しているのですが、接合部強度は部材強度に対して、引張方向に13%、回転方向には16%の割合になりました。紡木人の全接合部でみても部材強度に対して接合部強度の割合は3%~大きくて30%程度になりました。

(半剛節の検討 部材強度に対する接合部強度の割合を求める)
また方杖部分ではなるべく金物が見えないすっきりとした納まりにしたかったのでパネリードというビスを使用して、ダボで埋めています。なんとその数286本!このパネリードですが、建築1年のメンバー皆で一人一方杖を担当して、使う本数、位置まで細かく決めて図面にかき検討を行いました。小原先生に何度も質問しながら、ホワイトボードにあれこれメモしてなんとか仕上げた夏が懐かしいな~笑。今でも現地で方杖を見たら、これは誰担当の方杖だなと見るたび思いだします。「いろはにほへと」だけじゃない、「メンバー番付」が私たちの共通認識になっているという。
次のブログではこの皆で頑張った接合部設計パネリードについてお話できればと思います!計算好きな方もそうでない方も、ぜひそのまま読んでいってください~
木造建築専攻1年 奥村 千里