自力建設「紡木人」。ついにその姿を現す。上棟を「菓子まき」で祝う!
今年度の自力建設プロジェクトの建設作業が、いよいよ佳境を迎えました。これまでに用意した部材を組み上げる「建て方」が10月21〜23日の3日間で行われ、ついに「紡木人」(tsumugito)が姿を現しました。自力建設の課題が発表されてから約半年。図面や3Dでしか見てこなかったその姿を前に、木造建築専攻1年のメンバーは感慨ひとしおです。残りの作業も安全第一で進めていきます。
「建て方」の作業は、「大工合宿」でお世話になったアカデミー卒業生で東濃ひのき製品流通協同組合(白川町)の坂井梨奈さんと、鈴村晃宏さん、瀬尾英臣さん、安江玲二さんの3人の大工さんにご協力いただきました。
初日は柱と桁、方杖などを組み上げる作業です。「紡木人」で使用する桁材は計10本あり、長さは最長約3.9mあります。これらをどのように柱の上で組み上げていくか頭を悩ませましたが、大工さんが即席で添え木を作ってくれ、問題解決です。
桁同士は「追掛大栓(おっかけだいせん)継ぎ」で固定します。「大工合宿」では部材を寝かせた状態で仮組みをしていたので実際に組めるか不安はありましたが、掛矢(かけや)で力強く叩き、時にはクランプも駆使しながら何とか当てはめることができました。
また、「紡木人」の柱は8本中6本を「Dボルト」という金物を使用して基礎と緊結させます。最終的な緊結作業は構造材を組み上げた後にモルタルを注入して行うため、「建て方」の作業中は常に構造体の足元が不安定な状況になります。この点についても、大工さんの知恵で板とクランプを使って構造体の足元を固定することで課題をクリア。初日の作業で柱と桁、方杖をほぼ組み上げ、建物のフレームが完成しました。
2日目は、登梁を桁に乗せてビスで固定し、屋根の野地板(幅120mm、厚さ30mm)を敷く作業に取り掛かりました。「紡木人」は屋根部分が広いのが特徴で、用意した野地板は約300枚。実(さね)加工した板を一枚一枚はめ込み、ビスで固定していきます。大工さんの手早い作業に圧倒されながらも人海戦術で次々と板を打ち付け、防水シートの「アスファルトルーフィング」を敷いてこの日の作業は終了です。
3日目は、柱と方杖、桁を接合させるためのビスの打ち付けと金物の固定などを行い、夕方からは無事、上棟式を執り行いました。上棟式では、施主の杉本和也准教授と棟梁の奥村千里さん、東濃ひのき製品流通協同組合の坂井さんに米、酒、塩を「紡木人」の四隅に撒いていただき、餅まきならぬ「菓子まき」で上棟を祝いました。
その後は直会(なおらい)で、木造建築専攻2年生の先輩方が用意してくださった料理を楽しみながら、1日を締めくくりました。
「紡木人」の建設作業はこの後、屋根板金のふき付けや壁と棚の設置などが残っています。最後まで気を抜かずに、心地よい空間でチェーンソー練習が行えるよう、木造建築専攻1年生一同、力を合わせて頑張っていきます!
木造建築専攻1年 坂巻陽平







