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2021年12月22日(水)

木工事例調査 関西⑤ Cafe soto

クリエーター科木工専攻の恒例授業「木工事例調査」に行ってきました。昨年はコロナの影響で県外への訪問は実施できなかったのですが、今回は感染対策を万全にして兵庫、大阪、京都の博物館、製材所、木工工房などを1泊2日で回りました。

学生によるレポート第五弾はグリーンウッドワーカー、福畑慎吾さんが経営されているCafe sotoです。

 

 木工事例調査の2日目のお昼に、グリーンウッドワークの講師として様々な場所で活躍されている福畑慎吾さんが経営しているCafe sotoでランチを食べました。

UPI OUT DOORやモンベルなどのアウトドア業界や、著名木工家の講師を勤められています。高校では酪農や食品加工を学び、食肉会社に勤務した後、35歳でCafe sotoをオープンされました。緑に囲まれた大変人気なカフェです。

 

 

福畑さんはカフェのオーナーとして厨房に立ちながら、グリーンウッドワークの商品制作やワークショップの活動もされています。グリーンウッドワークを始めたきっかけは2013年にイギリスのグリーンウッドワークの第一人者マイクアボットさんの本に出会い、独学後、アカデミーの卒業生であるグリーンウッドワーク協会の小野さんから滋賀県で一年間技術を学ばれました。最近は普及が広まっているグリーンウッドワークですが当初は珍しがられたそうです。

見学の当日は祝日ということもあり、カフェは大変混んでいました。お忙しい中カフェに隣接している作業場とギャラリースペースを見学させて頂きました。

 

 

 

作業場について

 緑に囲まれたログハウス風のカフェの入り口には、グリーンウッドワークの足踏みろくろや削り馬が並ぶ、素敵な作業場があります。当初はグリーンウッドワークはカフェの閑散期の仕事として始められました。アルプスの少女ハイジのおじいさんオンジに憧れていたそうです。

この作業場にある足踏みロクロでお皿やスプーンを製作し、ワークショップの内容を考えられています。

足踏みロクロは2015年に福島クラフトハウスの井丸さんに学ばれ、その後、福畑さん自らロクロやロクロ鉋を製作してボウルなどを作られているそうです。

学生も足踏みロクロを体験させて頂きました。旋盤と違って削りくずがなかなか出ず、難しいですが刃の角度が決まって「シュルシュル」と削れた時の感触はとても気持ちがいいです。

 

ギャラリースペースについて

15歳の頃にお父さんと一緒に建てられたログハウス。グリーンウッドワークで製作された福畑さんの作品も展示されており販売もされています。スプーンやお皿、雑貨等の作品がたくさん並んでいました。福畑さんが製作される作品はどれも家に欲しくなるような素敵な作品ばかりで学生たちも何人か購入させていただきました。

 

見学した感想

 素敵なカフェの隣で木を削っている人がいる。お茶をしていた人が不思議そうに近づいていって眺めている光景を見て、グリーンウッドワークの原始的な作業なのか、見たこともない道具なのか、人々が惹かれる何かがあると感じました。カフェや作業場、ログハウス全てがとても素敵でカフェにはお客様もたくさんいて賑わっていました。「何度でも訪れたい」と思う雰囲気や環境作りが大切だということを改めて感じました。

ワークショップだけでなく、作品を販売することにもこだわり、素材の仕入れからお客様に届けるまでの料理(食)に携わってきた福畑さんならではの考え方がありました。カフェという開かれた空間で実演しながら製作することを大切にされていて、生の作業を見てもらうことがとても重要であると感じました。

作品販売の「モノ」と体験販売の「コト」はどちらも大切にしていきたいとおっしゃる福畑さん。ワークショップの参加者にとっては遊びでも、その体験には価値があります。

福畑さんは、カフェ営業のわずかな合間の時間に作品制作をされています。仕事にしていくには、自分が正確に早くできないといけません。私もこれからグリーンウッドワークを仕事にしていくことになります。今までは学生としてのんびりグリーンウッドワークを楽しむことが多かったですが、今後目線を変えて取り組んでいきたいと思います。

お忙しい中、とても貴重なお話、体験をありがとうございました。

 

文責:水上淳平(クリエーター科 木工専攻2年)

   井上真利(クリエーター科 木工専攻1年)