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2021年04月03日(土)

県内で起業した木工の卒業生を訪ねて ②AC CRAFT

AC CRAFTの工房・ショールームは、岐阜県美濃市内「うだつのあがる街並み」にあります。お蕎麦屋さんの軒下通路を覗くと、奥に看板が。ここまで入るのにはちょっと勇気がいるかな?と思いますが、ショールームはAC CRAFTの家具と共に素敵な小物類がならぶ、お洒落なスペースです。

AC CRAFT看板 ハイバックチェア

AC CRAFTを主宰する石井 学さんは森林文化アカデミーの1期生。大学で建築を学び、住宅メーカーで設計業務を3年経験した後、職業訓練校の木工科での1年間を経て、森林文化アカデミーへ。そして2003年に卒業、現在の場所に工房を構えています。

 

 

■身近な山の木を

AC CRAFTのものづくりの特徴はカラマツやスギなどの針葉樹材を用いていること。最近でこそ針葉樹材を家具に使う作家が増えたものの、広葉樹材に比べて柔らかくて傷つきやすい針葉樹材を家具に用いるのは一般的ではありません。それを石井さんが工房開設時から続けているのは、アカデミー入学前の経験に根差しているそうです。

 

住宅メーカーでは国産針葉樹材は潤沢で、一部ではダブついていることを感じていたのに、家具作りを学んだ職業訓練校では広葉樹材が手に入りにくくなっていると聞いた。そしてアカデミーで山や林業の抱える課題を学び、持続可能な資源利用として、身近な山で産出され潤沢で安定して入手しやすい、針葉樹を用いたものづくりを目指したのだそうです。

石井学さん

静かにお話される石井学さん

針葉樹の椅子たち

針葉樹を用いた椅子たち

針葉樹材は柔らかくて傷つきやすいので、ものづくりをする側は気をつかう素材ですが、製品としては温かくて柔らかい手触りと軽いという特徴があります。AC CRAFTのラインナップに椅子が多いのは、日々の使用で手に触れる機会が多く、また移動させることが多い椅子にこの特徴を活かし「材に向いている物を作っていく」という考え方によるもの。

カラマツの板

出番を待つカラマツ材

そして用いる材も岐阜県産が中心で、カラマツは岐阜県荘川地域の材が用いられています。荘川地域のカラマツは材を購入している会社の先先代が植林を進め、ちょうど伐採、利用をする時期にきているものだそうです。産地が明らかな身近な材だから、その材が産出される背景までも知った上で使うことができますね。

AC CRAFTの製品は定番とセミオーダーで椅子とテーブルなどの家庭向けが中心。販売ルートは、設計事務所や工務店からの紹介が多いとのこと。ショールームを構えられているし、最近はネット中心で販売をされる作家も多いので、少し意外でした。

 

■定番とセミオーダー中心に

ショールームには定番の椅子が多く並び、なかには10年の月日が経っているものも。カラマツは製品になってからも年々色が深くなっていき、飴色になっていきます。ショールームで色の変化までを確認できるのは長く定番として扱っているからこそ。フォルムがシンプルで材の特徴を活かした設計がされた、石井さんの思いが詰まった椅子たちでした。

カラマツ材の椅子

時とともに色合いを深めるカラマツ材の椅子

文責:渡邉聡夫(クリエーター科木工専攻)


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