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2017年02月27日(月)

教員リレーエッセイ7:世界と生物多様性と里山と

 柳沢直(森林環境教育)

柳沢 直 准教授

今なら間に合う アカデミーに入るんだ(アカデミーはヤワじゃねぇ!!)

森林文化アカデミーでは、自然や生物についてよく知り、それを伝え、地域の活動に活かすことのできる人材を育てています。以下の文章を読んで、そういった仕事に興味を持たれた方はぜひ受験をご検討ください。

世界と生物多様性と里山と

茶畑を中心とした春日の里山景観

我が国の自然は豊かあるが故に「後は野となれ山となれ」「水に流す」「湯水のように使う」など、自然を「タダ」のように感じる感性が伝わっています。一方で「もったいない」の精神は「自然がタダでない」ということを私たちに教えているようでもあります。

国連が発表したミレニアム生態系評価(2000)の中で、自然の持つ恵みは「供給」「調整」「文化」「基盤」の4つのサービスに分けられ、それぞれを最大限に発揮するためには「生物多様性」が重要であると位置づけられています。生物多様性とは、一言で言えば「多くの種類の生物が共存している」状態ですが、「豊かな自然」と言い換えることができるかもしれません。

最近では平成28年12月4日から17日の期間に「生物多様性条約締約国会議」の最新の会合(COP13)がメキシコのカンクンで行われ、その中で農林漁業及び観光業における生物多様性の主流化が主要課題の一つとして取り上げられました。

人間は地球にとって余計な事しかしない余分な存在?

人間が生きるために行ってきた営みと、豊かな自然とは一見すると矛盾するように感じられるかもしれません。大規模な開発や、作物や樹木の単一種栽培などは、元からあった自然環境を根こそぎ消失させてしまうからです。つまり、現代の農林漁業や観光業は、生物多様性を失わせる行為であるかもしれません。

しかし、一方で、豊かな自然を保ったまま、そこから生きる糧を得る事も可能です。それが昔から続いてきた里山のシステムです。日本の里山では、過収奪が行われた時代もありましたが、基本的に自然の大元がなくならない範囲で資源を収穫するため、持続可能な暮らしを営むことができました。COP10に際して日本政府は「SATOYAMAイニシアチブ」を提唱、世界に向けて自然と共生する持続可能社会のモデルとして「SATOYAMA」を前面に打ち出しました。現在の日本の里山が世界に誇れるものかどうかはさておき・・。

水田と草地、里山林はかつてはセットで使われていた(開田高原)

林から炭材をとってきて炭を焼き燃料にする、林から落ち葉を集めてきて肥料にする、草を刈って家畜の肥料にしたり、屋根材として利用するなど、様々な資源が里山の自然から収穫されてきました。しかしその資源は林や草地が成長する過程で補充され、間隔を置いてまた同じように収穫することができます。

里山整備で切り出された小径木は畑の支柱に利用されている(関市)

つまり、「豊かな自然」と「人間の営み」が互いに矛盾しない形が里山であり、目に見える範囲で自然が劣化しないように使ってきた結果が里山の自然と言えるでしょう。

森林文化アカデミーの授業や実践

森林文化アカデミーでは、里山の自然を知るための授業や、保全のための様々な取り組みが行われています。人と自然が共生するためには、まず自然についてよく知る必要があります。樹木を見分け、その生態を知る実習では、アカデミー周辺を歩きながら見分け方の基本を学びます。

樹木同定実習で樹木について学習する学生たち(森林文化アカデミー:美濃市)

また、里山を使い潰さずしかも放置するよりよい状態で利用するためには、自然の持つ成長量、つまり回復力がどのくらいであるのか、調査する必要があります。下の写真は1年でどれだけ樹木が生長しているのか知るために、アベマキの年輪を数えているところです。アカデミーではこういった科学的な基礎を学べますが、さらにそれを活かす実習フィールドも数多くあります。

森林文化アカデミーの多様性

リレーエッセイでは多くの教員がアカデミーの活動や、考え方を紹介しています。持続可能な暮らしや社会と向き合ってゆくというその理念は各教員に共通していますが、その方法論やスキル、フィールドは様々です。まるで生物多様性の高い豊かな自然のようですね。様々な生き物がからみあって生きる豊かな生態系には、環境の変化や壊滅的な災害にも耐え、定常状態に復帰する力が備わっています。森林文化アカデミーは日本に唯一の森林を軸とした持続可能社会に貢献する学校です。あなたもぜひその一翼を担いつつ学んでみませんか? お待ちしています!


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