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2017年02月23日(木)

教員リレーエッセイ4:自然学校は「自然体験」から「持続可能な暮らし・コミュニティづくり」へ

嵯峨創平(森林環境教育)

 

わが国の自然学校は1980年代から先駆的な民間事業者が先鞭を付け、1990年代に入ると行政機関にも普及して大きく成長しました。学校教育や修学旅行にも体験型学習を取り入れたプログラムが広まり、多くの自然体験指導者が活躍しています。

自然学校は「自然体験」から「持続可能な暮らし・コミュニティづくり」へ

 

一方で、農山村に拠点をもつ自然学校では、若いスタッフがコミュニティ活動の担い手として地域に貢献し、耕作放棄地や里山整備に取り組むなど環境教育と暮らしの融合が2000年代から始まりました。最近はこの傾向をさらに推し進めて、自然学校を「持続可能な暮らしのモデル」として里山利用や古民家リノベーションを複合する動きが先進的な活動として注目されています。海外でも同様な傾向があり「地域に根差した教育(Place Based Education)」として注目を集めています。

最近は、在来種の野菜栽培や伝統的な食文化の継承、小規模林家のような自伐林業や薪炭生産といった農山村の暮らしの作業そのものがアクティビティとして都会のお客さん達に人気を呼んでいます。こうした傾向は2011年の東日本大震災後は特に顕著であり、日本人の多くが持続可能な暮らしとはなにか、自らの食やエネルギーの自給を真剣に考え始めたことと無縁ではないでしょう。

 

自然学校スタッフに求められるマネンジメント能力

 

今ひとつ重要なポイントは、自然学校という事業を運営できるマネジメント能力を備えた人材の確保です。いわば草の根ベンチャー的に始まった自然学校も、創業世代が子育て期を経て中高年に差しかかり、一方で若いスタッフ達を雇用し育成するという事業サイクルを永続することが課題となってきました。ここで社会人経験を持ったスタッフに期待されるのは、他業種で培った経営管理・営業開拓・広報デザインなどマネジメント系の能力です。

これからの自然学校スタッフに求められる能力は、自然好き・子ども好きという基本資質に加えて、基礎となるインタープリテーション能力や野外活動技術、さらには事業運営に必須なマネジメント能力といえるでしょう。

森林文化アカデミーの森林環境教育専攻のカリキュラムには、「コミュニティビジネス起業論」や「森林空間利用プログラムの事業化」などの科目があります。自然学校スタッフの中核となることを志す人には是非受講してほしいプログラムです。

 

林資源、森林空間を活用した多様な起業へ

 

さらに実践的な学びの場として、森林文化アカデミーのサテライト(別拠点)として西濃地区の揖斐川町に「里山インキュベーター」という農山村で起業を目指す人向けの実習拠点となる古民家があります。インキュベーターとはタマゴをヒナにかえす孵化器の意味ですが、ビジネス起業者へ実習の場とビジネススキルを提供して事業化を支援する仕組みのことです。

 

森林文化アカデミーでは「森と木のオープンカレッジ」の講座として一般の方々と学生が交じり合いながら起業に向けた共同学習と社会実験を行える場として「里山インキュベーターいびがわ」を運営しています。関心ある人は是非アクセスしてください。

森林環境教育専攻では、キャンパス内の演習林で子ども達との日常的な実習を提供するだけでなく、「持続可能な暮らし」をコミュニティと関わりながら学ぶ科目、マネンジメント能力を高めて「森林資源・森林空間を活用した多様な起業」を後押しする体制が構築されています。

平成29年4月入学の願書はまだ間に合います。意欲ある学生さんの応募をお待ちしています。