活動報告
2020年07月10日(金)

多様な森林資源について学ぶ〜「有用植物実習(山菜・薬草)」「特用林産物実習(春夏編)」〜

COVID-19による長い休校から6月に授業が再開しましたが、先日立て続けにクリエーター科2年生の授業において特用林産物に関連する実習を開催しましたので、簡単に紹介します。

ひとつ目は「有用植物実習(山菜・薬草)」。この科目についてはしばらく前にタラノキの増殖に関する実習を報告しました。その続編になります。

この実習では薬草に関しても扱っていますが、これまでは近隣の市にある薬草栽培施設に伺い、薬草の用途や種類について学んでいました。しかし今回はCOVID-19の影響で団体利用ができず、予定を変更。卒業生の協力で揖斐川町春日地区の薬草栽培の現場を訪れました。

訪れたのは、春日在住で代々薬草栽培をされているAさんの畑。複数の畑をお持ちですが、今回は笹又林道沿いにある畑を見学させていただきました。

薬草畑

笹又の薬草畑で説明を聞きました

春日地区は古くから薬草栽培が盛んな地域ですが、この笹又は急峻な地形にもかかわらず道沿いの多くの畑に様々な薬草や野菜が栽培されており、多くの方が畑の手入れに訪れておられました。Aさんの畑ではトウキ、ドクダミ、ウツボグサ、ヨモギ、イブキジャコウソウ、ゲンノショウコなどを見させてもらいました。ドクダミやヨモギの匂いはよく知られていますが、トウキはセロリによく似た強い匂いで、初めて嗅いだ学生さんには驚きだったようです。

トウキとカメムシ

トウキの花にいたアカスジカメムシ。おしゃれなストライプ柄だが害虫。農薬を使っていない証拠でもある。

ドクダミ

ご存知ドクダミ。十薬とも呼ばれる。

イブキジャコウソウなど

日本のタイム、イブキジャコウソウ。周辺にはヨモギやゲンノショウコも。

 

その後卒業生のMさんの案内で春日地区上ヶ流のお茶畑を見学しました。ここは近年茶畑の上の山林に遊歩道が整備され、新しく作られた展望台からの景観から「天空の茶畑」として有名になったところです。テレビなどで紹介されたことで有名になり多くの人が訪れるようになりました(外部の人が多く訪れることには地域内でも様々な意見があるようです)。ただ今回はCOVID-19の関係でその遊歩道は残念ながら閉鎖。茶畑内の歩道を一周しながら話を伺いました。

茶畑の説明

天空の茶畑で卒業生Mさんの説明を受けます

天空の茶畑

従来の歩道からの展望。在来品種は畝が不揃いでくねくねとしている。

ここでは集落全体で無農薬の栽培に取り組んでいるそうで、在来茶と呼ばれる古くから地域で育てられてきた品種も3割程度残っているそうです。暑い日でしたが最後に冷たい焙じ茶をいただき一気に疲れが飛びました。ご説明いただいたAさん、Mさん、同行していただいた地域おこし協力隊員のIさん、ありがとうございました。

 

次に紹介する「特用林産物実習(春夏編)」ではきのこの実習を行いました。

この科目では主に木材腐朽性きのこの栽培(マイタケ原木栽培)と野生きのこの同定について学びます。マイタケについては1年次の同実習(秋冬編)から引き続いて、一連の作業工程を学びます。今回はアカデミー近くでマイタケ栽培の講座を行なっている卒業生のOさんのところで原木の伏せ込みを行いました。林内にも伏せこみ場所があるのですが、この日はあいにくの雨のため大型のプランターに伏せこみます。まずは培養したマイタケほだ木の観察。私も関わって毎年行なっている講座ですが、今年は雑菌の混入も少なく、カマンベールチーズのようにマイタケの菌糸がまわり良いほだ木が出来上がっていました。

ほだ木伏せ込み

マイタケ菌糸が蔓延したほだ木。この後袋から取り出して、プランターに並べます。

伏せ込み2

ほだ木に土をかぶせて完成。適宜水やりは必要です。

袋から取り出して、プランターに埋め込みます。最後にふるいにかけた土で覆って完成です。この後は設置場所で落ち葉をかぶせ寒冷紗で庇蔭して秋の発生を待ちます。
Oさんには伏せ込みの準備などでお手数をおかけしました。ありがとうございました。

さらにこの実習では梅雨時の野生きのこの観察、同定を行いました。きのこというと秋のイメージですが、実は梅雨時にも多くのきのこが発生します。特に大型のイグチ類、テングタケ類の発生が多く、あまり知られていませんが食用として有用な種類もあります。今回実施した学内での調査ではイグチ類のアケボノアワタケや食用となるヤナギマツタケなどが確認できました。ヤナギマツタケは栽培化されていたこともある優秀な食用菌です。

ヤナギマツタケ

ブナの樹幹に発生したヤナギマツタケ。街路樹などに発生しているのを見ることも多い。

また別日に近隣の森林公園内で2時間ほど歩いて調査した結果、名前のわかったものだけで30種類のきのこが見られました。有毒種が多いテングタケ科、大型のキアミアシイグチなどイグチ類を始め、ベニタケ科や有毒種の多いアセタケ類が確認できました。この日は有用な食用種は得られませんでしたが、様々な分類群の特徴を学ぶことができた実習となりました。

キアミアシイグチ

キアミアシイグチ。いわゆるポルチーニと同じ科だが、食用にはならない。

同定の様子

短時間でこれだけのきのこが見られました。図鑑と首っ引きで同定します。

きのこや山菜、薬草類は森林資源としては脇役として扱われがちですが、それぞれの地域文化とも密接に関係しています。さらに食文化の多様化などにより、新たな利用価値が見出せるものと考えられ、これらの知識は今後重要になるでしょう。きのこに関してはオープンカレッジなどでも関連する講座を行なっていますが、今後も折に触れて紹介していきたいと思います。(津田)


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