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2021年08月01日(日)

林業事例調査2021(2)(2021/7/26)

林業事例調査二日目。午前中は、企業組合・山仕事創造舎さん(以下、山創さん)の見学をさせていただきました。

今、日本の林業では、「提案型集約施業」が推進されています。これは複数の森林所有者の、小面積の土地を取りまとめ、林業事業体等が、所有者に代わり、広範囲に森林施業を行うというものです。そうすることで、木材の運搬や、作業道(施業に必要な重機等が通る)開設における低コスト化を図ることができます。これによって、まとめられた山林を団地と呼びます。

山創さんでは、「提案型集約施業」によって、山主さんから預かった山林の価値を高めるため、従業員の方々の高いチームワークによる丁寧な施業を行っています。

今回は、複数ある団地の中から、白馬村神城にある飯田団地の現場を見学させていただきました。
飯田団地は、長野県の「みんなで支える里山整備事業」という補助事業を使って、地域の方、長野県、山創さんの三者で契約し、地域の方と共に事業を行っている団地です。目指す林の姿を「将来歩いて気持ちよく美しい針広混交林」に定め、適度な間伐を行いながら、有用な広葉樹を残すことで、次の世代のことを見据えた施業をなさっています。この団地の森林所有者さんの数はおおよそ100人と多いのですが、目指す林の姿を共有しながら、コミュニケーションを図って施業を行っています。
今回は見学することはできませんでしたが、今生えているスギを皆伐し、ナラの植栽にも挑戦されています。

 

案内をしてくださった、小林さん(左)、原田さん(右)です。

 

スギ(針葉樹)と有用広葉樹が適度な密度で生えています。

杉と広葉樹

 

所有している重機は、一緒に仕事をする大切な仲間。なんと全ての重機に名前がつけられています。こちらは木を運ぶことから「シェルパ号」と名付けられています。
こういった細やかな心がけが、安全に作業することにもつながるのだと思いました。

重機の写真

 

山創さんでは、生産した材のほとんどを市売に出さず、販売先を開拓し、少しでも多く利益を山主さんにお返しできるよう努力をなさっています。

ナラ薪の販売の方法もそのうちの一つ。太さを分けたり、長さを決めたりして、お客さんの需要に応えています。
土場に並べられたナラの原木。

 

こちらの団地では、施業によってつけられた道を利用し、今後、高台から北アルプスの景色を眺めることのできる観光地としての役割も期待されています。地域の活性化にもつながる林業。憧れです。

 

山創さんの特色の一つを紹介します。それは、作業班を持たないということです。

それぞれの団地の現場管理者が、その現場に合うメンバー、重機を選んで施業を行います。団地ごと役割が変わるため、現場管理者が作業員になったり、作業員が渉外を担当したりというように、フレキシブルに仕事をされています。同じ人が一つの仕事をし続けるということはありません。このような体制を取ることで技術を共有することができ、後継者の育成にもつながります。

現場管理者の萬代さん。小林さんと、施業の方針を話し合いながら現場の管理をなさっています。

対話から施業の方法を生み出すことができるのは、班を持たないことのメリットであるなと感じました。

 

見学の中で、「世代交代」という言葉を繰り返し耳にしました。山創さんでは、2021年に代表が若手の方に変わったばかりです。

「若い人たちが、新しい感覚で新しいものを創ってくれる」と話す小林さん。

小林さんの姿から、森林、地域、林業の未来のために、林業の担い手を育てていくという責任感のようなものを感じました。

 

 

見学後、昼食の風景。大自然の中、仲間と食べるお弁当は格別です。

 

山創さんが手配してくださった、白馬村にある自然派喫茶solさんの大豆ミート弁当をおいしくいただき、心もお腹も満たされた一行でした。

 

山仕事創造舎さんの見学から、山主さん、大町市を中心とする長野の山林の未来を守るために、創意工夫なさっていることがよく分かりました。

また、従業員の方々のやりとりから、山創さんのチームワークのよさが伺えました。「よいチームワークがよい林業を生む」という気づきを与えていただきました。

今後林業に携わっていく学生にとって、実りの多い見学をさせていただきました。最後になりましたが、お忙しい中見学を受け入れてくだった山仕事創造舎の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

二日目午後の訪問先は、荒山林業さんです。

(クリエーター科林業専攻1年 海野紗千子)

【林業事例調査(3)に続く】