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2017年10月20日(金)

教員オススメの一冊13:ピンピンコロリの法則

教員オススメの一冊11:小学館の図鑑NEO きのこ

ピンピンコロリの法則
著者:星 旦二
発行年:2010年、2014年改訂
発行元:ワニブックスPLUS新書
おすすめしている教員:辻充孝


書籍のタイトルにもなっている「ピンピンコロリ(PPK)」って言葉、聞いたことはありますか。
PPKとは、著者の星さんが命名した言葉で、長寿で寝たきりにならず最後を迎えること。つまり理想的な生き方を表した言葉です。ですが実は日本では、なかなか実現できていません。

この言葉の対義語は「ネンネンコロリ(NNK)」で、長寿ではあっても寝たきりである期間が長く、人生の最後を迎えることをしめしています。
実は先進国の中でも日本人はNNKで亡くなる方が多いのです。日本は病院や診療所の病床数が極めて多く、入院期間もアメリカの3倍ほど長いです。薬物の消費量も多く、薬害の悩みも多いようです。イギリスでは保険制度の中で鍼治療を行ったり、ドイツでは森林療法や温泉療法が活用されていることにも注目です。

厚労省発表(2017年)の資料によると、日本人の死因第一位は悪性新生物、つまりガンで亡くなられる方が3割弱、次いで心疾患、肺炎、脳血管疾患と循環器系の病が続きます。第五位にようやく老衰(6.6%)になります。天寿を全うして亡くなる方のなんと少ないことか・・・。

上の図は、PPKとNNKの生き方を示したイラストですが、NNKは体調が悪くなるとお医者さんに行って治療を繰り返し、確かに長寿ではありますが、人生の半分が障がい期間という悲しい人生になってしまいます。
ではどうすればPPKで生きられるかを具体的に書いた本がこの「ピンピンコロリの法則」なのです。

著者の星旦二さんとは、スマートウェルネス住宅等推進調査委員(住宅の温熱環境と健康の関係を調査する活動)でご一緒させていただいています。医学博士で、厚生省国立公衆衛生院、厚生省大臣官房医系技官併任を経て、現在首都大学東京 名誉教授!!すごい肩書ですが、本人のしゃべり口や文章は洒落っ気がきいています。
例えば健康の秘訣として「病院より美容院に行こう」など、深い言葉です。これは身だしなみを整え、よく外出される方は主観的健康観も高く、いきいきと生きる基本的なケアとなり長寿につながります。
このような非常に関心を惹く表現が随所にみられます。もちろんそのバックデータはしっかりしたもので、説得力があります。

読み始めはじめると、まず出てくるのが「10の健康常識 ウソ、ホント」。ぐいぐい惹き込まれます。
例えば「お酒は飲まない方が健康になれる?」、「メタボだと心疾患で死ぬことが多い?」など、もちろんそうでしょと思ってしまいますが、こういう聞き方の定番としてこれらはウソです。じゃあお酒をどんどん飲んだ方が健康なの?というのは、本を読んでくださいね。もちろんたくさん飲めば健康になるというものでもありませんが、お酒が好きな方は、家族を説得するためにも必読です。

後半には実践編として、健康に長生きするための大切なことがデータも含めてしっかり書かれています。単純なことも多いですのでぜひ実践しましょう。

私の専門分野である温熱環境は、住宅の環境を整え、健康に生きるための基本的な要素です。最初に紹介した死因第2位の心疾患や第4位の脳血管疾患などは、室内の温度差が大きく影響していると考えられています。日本の多くの家では、リビングは暖房していても廊下や服を脱ぐ脱衣所などは暖房されておらず非常に寒くなります。この急激な温度差で血圧が大きく揺さぶられヒートショックを引き起こすと考えられています。また死因第3位の肺炎は、寝室の室温が低いことが影響していると考えられています。寝ているときは代謝が下がるため体温が下がっている状態で、呼吸で寝室の冷たい空気が肺(体の中心部)に入ってきて肺の免疫力の低下が懸念されています。

星さんと一緒に研究に携わっているスマートウェルネス住宅等推進調査でも、改修前後の2200件の実態調査からこれらの住環境の暖かさと健康の関係が明確になってきています。また、この書籍からは、それ以上に影響の大きい要素もあることがわかります。様々に影響しあって健康が形作られています。

住環境は、人生の半分以上を過ごす場所。当然ながら、その環境面、衛生面を整えることはPPKにつながります。
自分のため、家族のため、周りのみんなのためにも健康で長生きな人生を送りましょう。

 

辻 充孝 准教授

辻 充孝
木造建築設計・温熱環境・省エネルギー
研究テーマ 住まいにおける消費エネルギーの実態と予測
住宅の熱環境評価

 

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