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2017年07月08日(土)

教員オススメの一冊 1:コリンマレー アジサイ図鑑

アジサイ図鑑

コリン マレー アジサイ図鑑

著者:コリンマレー(訳:大場秀章、太田哲英)
発行年:2009年
発行元:株式会社アボック社
価格:5,714円+税

おすすめしている教員:柳沢 直


今年の梅雨は森林文化アカデミーのある美濃市では、例年にくらべて意気地がないというか、今ひとつ雨の日が少ないようです。野外での授業の多いアカデミーにとっては嬉しい事でもあるのですが、農業をされている方にとっては大変ですね。
さて、梅雨の時期の花といえば真っ先に思い浮かぶのがアジサイでしょう。雨に濡れたアジサイの花はたいへん風情があってよいものです。このアジサイ、実は日本では房総・三浦・伊豆半島と伊豆諸島にしか野生のものがありません。しかも植えられている場所のイメージと違い、野生のものは海岸沿いに自生しています。

アカデミー構内のアジサイ(撮影:柳沢直)

アカデミー構内にも数種類のアジサイの仲間が植えられていて、ちょうど今が見頃となっています。最近では「西洋アジサイ」という名前で多くの園芸品種を目にするようになりましたが、色はもちろん、萼片の形や装飾花の割合に至るまで多くのヴァリエーションを楽しむことができます。
この西洋アジサイ、日本のアジサイがヨーロッパに渡って品種改良されたものとされています。しかし中国で栽培されていたアジサイをWillsonらプラントハンターによってヨーロッパに持ち帰った記録はありますが、日本のアジサイがどうやって中国に渡ったのか、そのあたりがよく知られていないようです。これらアジサイ研究の歴史は翻訳者の1人である植物分類学者の大場秀章氏が本書の中で解説しておられますので、読んでみてください。アジサイ属の樹木についてより深く学ぶ事ができます。

アカデミー構内のガクアジサイ/ヤマアジサイとの交雑種?(撮影:柳沢直)

著者のコリン マレーさんはヨーロッパでは有名なアジサイ蒐集家で、日本のみならず、新大陸から台湾、ネパールに至るまで世界中からアジサイを蒐集しアジサイ園を作っておられます。本書はそのアジサイ蒐集の集大成でもあります。

アカデミー構内のアメリカノリノキ ‘アナベル’(撮影:柳沢直)

難しい話は置いておいても、ページをめくると美しいアジサイたちの花が目に飛び込んできて、時間がたつのを忘れてしまいます。おもしろいことに、野外で普通に目にするノリウツギにも園芸品種があり、野生では生育地が重ならない自生のヤマアジサイとアジサイの交配からも多くの園芸品種が産み出されています。ひとつの属の樹木だけでこれだけの多様性が産み出されたことに驚きを感じると同時に、これらの植物の多くが元をたどれば日本の豊かな自然から産み出されたことに、日本人として誇りを感じます。

この図鑑を読んでから咲いてるアジサイを見ると見え方が違ってきますよ。お勧めの1冊です。

 

教員柳沢直

柳沢 直
里山の自然を守り育み有効利用する。
持続可能社会は里山から。
研究テーマ 地質と植生の関係に関する研究、里山の植生に関する研究、里山林の利用に関する研究

 

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