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2021年09月09日(木)

蒸し暑さを絶対湿度で見る~夏の実測その5~(morinos建築秘話64)

建築秘話62(最も暑い日)建築秘話63(無人状態)は室温に着目して夏の実測データを見てきましたが、日本の夏は湿気も体感に大きく影響します。

今回は湿度に着目して分析してみます。

下記のグラフが、最も暑かった3日間の2021年8月28日(土)~8月30日(月)の湿度の変化です。
この期間の温度変化については、下記ブログをご覧ください。
美濃市の暑い日常~夏の実測その3~(morinos建築秘話62)

※運用状況のインタビューからコロナ対策もアリ、エアコンをかけた状態でも窓開けを行っているとのこと。
そのため外気が流入して、効率的に冷房ができていない状況を想像しながらデータを見てください。

青が外気湿度(平均68%)、茶色が床下(平均67%)、黄色が足元(平均59%)、オレンジが腰高(平均56%)、赤が頭の高さ(平均55%)の湿度です。緑の面グラフが電力消費量で、エアコンの稼働時が想定できます。

一般的に、カビやダニ、ウイルス等の観点からも40~60%が適湿と言われています。室内は概ねこの範囲に入っています。

エアコンの稼働時に湿度が一気に下がっていることが確認できます。
室内の高さ別にみると、足元から頭の高さに上がるにつれて湿度が下がっているのがわかります。

「相対湿度」と「絶対湿度」

この温湿度計でよく見る湿度●%は、正確には「相対湿度」と呼ばれています。
これは、空気の持てる最大の水蒸気(水)の量は気温によって変化するため、その気温の最大含める水蒸気量に対してどのくらいの割合を含んでいるかを示しています。

気温が高いとたくさんの水蒸気を含めるため、同じ水蒸気量であれば室温の高い頭の高さの方が相対的に湿度が下がるわけです。

この「相対湿度」に対して、具体的な量を示す値に「絶対湿度」があります。さらにややこしいことに、「絶対湿度」には2種類の表示があります。

1つ目は、空気1m3に対して〇gの水蒸気を含んでいるかを示す「容積絶対湿度」。単位はg/m3です。
2つ目は、乾燥空気1kgに対して〇gの水蒸気を含んでいるかを示す「重量絶対湿度」。単位はg/kg(DA)です。DAは乾燥空気(Dry Air)を示します。高校物理でよく見るのはこちらです。

気温によって、空気の重さが変わりますが、20℃の空気1m3で約1.2kg程度です。そのため、「容積絶対湿度」と「重量絶対湿度」には2割ほどの違いが生じます。どちらの絶対湿度の単位で表現されているが注意が必要です。

空気1kgと言われてもイメージしにくいと思いますので、このブログでは1m3の空気に含まれる水蒸気量を示す「容積絶対湿度」で表現します。1m3の空気もイメージが難しいですが・・・。

※例えば20℃の空気には1m3あたり最大17.3g含めますので、20℃100%は17.3gの水蒸気があり、50%では半分の8.65gの水蒸気が存在していることになります。
30℃100%では約30g/m3、10℃100%では9.4g/m3と、同じ100%の相対湿度でも気温が高くなると、多くの水蒸気を含めると覚えてください。

暑い日の分析

では、上の相対湿度の図を容積絶対湿度に置き換えてみましょう。(下図)

相対湿度と違って、室内は15g/m3前後でほとんど同じような水蒸気量になっています。冷房時に絶対湿度が下がっていますので除湿が効いています。
一方外気は、相対湿度は70%程度で推移していましたが、絶対湿度で見ると14~28g/m3と、一日の中で大きな変動があります。

水蒸気は、拡散しやすく閉め切った室内ではほとんど同じような絶対湿度(水蒸気量)になると言われますがその通りの結果になっています。

つまり、窓開け通風を行うと、日中外気の28g/m3が一気に室内に入ってきて、絶対湿度が一気に上がり(相対湿度も同時に上がります)、蒸しっとした感じになってしまいますので、通風のタイミングが注意が必要です。

絶対湿度の基準はありませんが、15g/m3を超えると水蒸気の持っている熱によって蒸し暑さを感じやすい状況になります。

相対湿度と容積絶対湿度を重ねたグラフで見てみます。(下図)実線が相対湿度(左目盛り)、点線が容積絶対湿度(右目盛り)です。

外気の絶対湿度の変動の大きさが目立ちます。
外気の明け方は14g/m3と水蒸気量も少なく比較的過ごしやすいですが、日中は28g/m3以上の水蒸気量がありかなり蒸しっとした感覚になっていたはずです。

室内は、15g/m3程度で安定しており可能ならもう少し絶対湿度を下げたいところですが、特に暑かった3日間ですので、程よい空調運転がなされていると考えられます。

無冷房時の分析

下記のグラフが、冷房を使用していない時期の2021年8月10日(火)~8月12日(木)の相対湿度(実線)と容積絶対湿度(点線)の変化です。(11日が無人時)
この期間の温度変化については、下記ブログをご覧ください。
閉め切り冷房ナシのmorinosの夏~夏の実測その4~(morinos建築秘話63)

11日が冷房もなく無人時の湿度変化なので、11日だけの数値を見てみます。

外気:相対湿度 67~71%、絶対湿度 13.2~21.5g/m3(日較差8.3 g/m3)
床下:相対湿度 70~73%、絶対湿度 15.8~18.0g/m3(日較差2.2 g/m3)
足元:相対湿度 62~64%、絶対湿度 14.6~18.4g/m3(日較差3.8 g/m3)
腰高:相対湿度 58~62%、絶対湿度 14.6~18.4g/m3(日較差3.8 g/m3)
頭高:相対湿度 57~61%、絶対湿度 14.5~18.3g/m3(日較差3.8 g/m3)

冷房を使用していないため、相対湿度変化は内外通して緩やかです。
ただ絶対湿度(点線)の外部はやはり大きく変化しています。室内の変動は緩やかです。

冷房をしていないため、室内も夕方にかけて18g/m3を超えており、蒸し暑さを感じる状況でしょう。

 

次回は、温度と湿度の両方から心地よい室内環境になっていたかを分析してみます。

准教授 辻充孝

morinos建築秘話の全話はHPから見れます。