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2020年03月10日(火)

ガラスコーナー(morinos建築秘話4)

morinosの建物コーナー部はガラスのみで、柱や押さえ縁などの木材がありません。

これも、方立の間隔やサイズを調整したこと(morinos建築秘話3)と同様、内外の繋がりをよりスムーズにするためです。

ちょっとしたことですが、建物のコーナーに方立や柱が無いことで、斜めに広がる視界を遮ることなく、連続感が得られます。

このガラスの納まりにも実は工夫が凝らされています。

morinosのガラスは全て、熱を逃がさないために断熱性能を高めた複層ガラスが使用されています。下写真のガラスと方立の取り合いをよく見てください。

銀色(アルミのスペーサー)のラインが2列入っているのが確認できると思います。ここが空気層です

つまり、上の写真は5mmガラス1枚目-10mm空気層1層目(アルミ)-5mmガラス2枚目-10mm空気層2層目(アルミ)-5mmガラス3枚目のトリプルガラスです。

morinosのガラス面の基本は上記のトリプルガラス。厚みにして35mm。かなり分厚いです。

この分厚いガラスのコーナーをどのように納めるかが課題でした。一般的には、ガラスの角はコーキングといわれるシリコンで斜めに処理します。シリコンなので、角はヌルヌルした感じでパリッとしません。
1枚ガラスであればそれほど気になりませんが、複層ガラスの厚みとなれば野暮ったくなってしまいます。

そこで、隈事務所の方にアドバイスを頂き、複層ガラスの1枚だけ伸ばした特殊なガラス(トリプルガラスでは製作不可でコーナー部はペアガラス)を作ってもらい、そこに複層ガラスをかぶせていきます。

上の写真は、ペアガラスの外側だけガラスを伸ばしたペアガラス。ここに、もう一枚のペアガラスを引っ付けます。

出来上がったガラスコーナーが上の写真。コーナーがガラスのシャープなラインで仕上がっているのがわかります。

おそらく一般の来訪者はまず気にならないところですが、このようなちょっとしたことが建物の完成度を上げていきます。

准教授 辻充孝