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2023年05月26日(金)

日独木造建築シンポジウム セミナー&建築ツアー(木造建築ドイツ研修記2)

ロッテンブルク林業大学にて、これまでに森林文化アカデミーなどと連携してきた研究や活動について、ハイン教授およびエント氏、学生による成果報告が行われました。

Hein Sebastian教授からは「価値のある木材生産のための簡潔な概説『有用広葉樹』」の研究報告として、3D-VR空間内での森林体験に関する研究成果について報告がありました。
涌井学長もゴーグルを装着し体験しました。

ロッテンブルク林業大学 Hein Sebastian教授による研究成果報告

涌井学長による3D-VRの体験

Christoph End氏による研究成果の報告がありました。TREEM(希望木)というキーワードで森林空間や木材などを利用していく意義などに関する報告がありました。

Christoph End氏による報告

地上レーザースキャンによるコナラの測定に関する研究について、ロッテンブルク林業大学の学生Yannik Wardius氏による研究報告がありました。
昨年度、岐阜県内でコナラを測定した調査結果も報告に含まれていました。

学生による調査報告

ロッテンブルク林業大学のLudger Dederich教授による学内施設の見学会がありました。
その中で「モバイルモジュール」プロジェクトによる建物の視察をしました。
このプロジェクトは、資源高効率建築専攻の修士課程のカリキュラムの一環として、2019年1月~2021年12月に実施されました。
ロッテンブルク林業大学キャンパス内に建設する研究および学習スペースの設計が学生たちによりなされたものです。

MOLLIE と MOSES という 2 つの「モバイル モジュール」が提案されました。このうちのMOLLIEが建設されていました。

学生が基本設計をしたMOLLIE

ロッテンブルク林業大学のLudger Dederich教授およびFiona Schwesig氏による建築ツアーが開催されました。
チュービンゲン市にある建物2棟を視察しました。

まずは、約3.5 ヘクタールの「ヘッヒンガー エック ノルド」計画区域内の建設現場 A ではヘッヒンガー・エック小学校、テュービンゲン高齢者施設、保育所、商業用途、アパート29戸が1~6階建ての建物に計画されています。
地下室と1階は鉄筋コンクリート造ですが、2階と3階はハイブリッド木造であり、4階~6階の居住階(階段とエレベーターコアを除く)はすべて木造(CLTパネル工法)です。木材は、合計約1,315㎥使用されています。

Neubauprojekt HenA の視察

Neubauprojekt HenA の視察

Neubauprojekt HenA の視察(CLTパネル工法脚部の接合)

Neubauprojekt HenA の視察(CLTパネル工法脚部の接合)

Neubauprojekt HenA の視察(CLTパネルのフィンガージョイント)

次に、チュービンゲン市内の消防団の施設を視察しました。
この建物は、テュービンゲンで初めて木造フレーム構造を使用して建設された消防施設です。
床スラブとエレベーターシャフトを除き、合計380立方メートルの木材を使用した木造建築が実現されています。
構造部材には、アルゴイ地方とシュヴァルツヴァルト地方の伐採されたFSC認証材のみが使用されています。

消防団施設の視察

消防団施設の視察(集成材ラーメン構造)

ドイツにおいて、学生、自治体、建築実務者などそれぞれの立場による木材利用の取り組みを視察することができました。

 

教 授  小原 勝彦