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2022年06月27日(月)

地域実践プロジェクト「美濃駅前に”予感が降ってくる”場所を」

アカデミーの建築専攻では「地域実践プロジェクト」というカリキュラムで、地域からの設計相談に学生や卒業生が関わりながら、質の高い木造建築を設計提案するというものがあります。(美濃の道の駅「にわか茶屋や「あかりアート館」もこれにあたります)

今回は19期卒業生で下田大輔さんからのご紹介です。美濃の本屋さんエムエムブックスさんから、美濃駅前のご自身の土地を利活用提案してほしいとご依頼いただき、2年生の有志が授業で基本設計提案をすることになりました。
アカデミーでの一年間の学びの実践です。

エムエムプロジェクト敷地

クライアントの服部さんからヒアリングしながら、敷地踏査。長良川鉄道の美濃駅前からすぐ、正方形の広い土地で、北東側に石垣と多くの植生がありました。長良川鉄道から降りて美濃に向かうとき、帰るときに必ず通る道沿いにあり、美濃のまちの印象を決める重要な場所です。

敷地も良い今回のプロジェクトですが、クライアントの服部さんのご要望が、示唆に富んだ素晴らしいものでした。


構想

【予感が降りてくる場所】
・駅から歩き始めてこの建物が目に入るだけで、あー美濃いいかも!となる佇まい。
・この場所からうだつ、長良川、美濃の自然への期待、予感。
・活気。動。太陽の光。風が通りぬける。良い旅の良い予感。出会い。

【自分に戻れる場所】
・美濃の旅帰路へ。美濃市駅に戻る途中、次の電車やバスを待つ時間、また戻りたくなる場所。楽しかった旅を振り返り、そのまま自分自身を省みるような時間に、思う存分没頭できるような場所。気づけば濃い静かで豊かな時間が流れ、予定していた電車やバスも一本遅らせたくなるような場所。
・親密な人、そのとき閃いた誰かに手紙やハガキを書きたくなる場所。帰りがけに改札口前の郵便ポストに投函。
・静けさ、木陰、暖、守られた場所、自分に還る場所。


ね。旅の体験を静かに自分のものとして反芻できるような、やさしい場所にしたいという服部さんの想いが伝わってきます。

さて、敷地を見て、ヒアリングをした後は、画の授業の間を縫って作業し練り上げ、一ヶ月後にプレゼンの日がやってきました。
場所は20期自力建設「みどりアトリエ」です。
川のせせらぎが聞こえ、昼光が漆喰に程よく反射し、モニターもありクーラーも効くという、なかなか快適な空間です。

トップバッターは河野さん。
【立ち寄りたくなる”家”のようなオープンスペース】というタイトルで分棟型の建物を提案しました。
自分が旅先で思わず立ち寄ってしまった場所、を手がかりに条件を設定し、設計に落とし込みました。
民泊として一棟貸しにも対応できるようにするのはm長良川鉄道で郡上八幡などを利用する人と美濃をつなげる良いアイデアです。

エムエムプロジェクト河野さん

エムエムプロジェクト河野案1

エムエムプロジェクト河野案2

次は名和さん。
名和さんも2棟ですが、開口部を開けると一体空間になるという面白い発想です。
立ち寄ってもらうためにブックスタンドの仕掛けを考案し、奥に井戸を配置して気を引くなど、細かな心理的な効果を狙ったアイデアでした。迫力ある模型もクライアントにプレゼント。

エムエムプロジェクト名和さん

エムエムプロジェクト名和案1

エムエムプロジェクト名和案2

最後は鈴木さんのプレゼンです。
シンプルで小さなガラスの箱のようなカフェスタンドのプランニングですが、シンボルとなるタワー型の立面を提案。
美濃市の文化財「川湊灯台」、第16期自力建設「森湊灯台」に続く「町湊灯台」という名前の建物です。
現役内装デザイナーとして20年近くの実績がある鈴木さん。3Dモデルをレンダリングした夜景を用意していました。これは確かに、灯りに吸い寄せられていく、一度見たら忘れない空間です。

 

エムエムプロジェクト

エムエムプロジェクト鈴木案1

エムエムプロジェクト鈴木案2

卒業生の下田さんも「レベル高いなあ〜!」と感心。
服部さんにもとても喜んでもらえました。記念にデッキに出て初夏の緑とパシャリ。
これからこの三案を元に、さらに設計を練っていくことになりそうです。

このように、実際に実現する案件に教員と一緒に関わることができるのがアカデミー建築専攻の大きな特徴です。
良い経験になりましたね。

 

エムエムプロジェクト集合写真

 

木造建築専攻講師:松井匠