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2021年09月26日(日)

使う人が選べる空間作り(みどりのアトリエ建築日誌4)

みどりのアトリエは「アイデアを生み出すことのできる空間」をコンセプトとして、設計、施工を行いました。

 

アイデアが生まれる瞬間というのは、人によってバラバラで、1人で籠って集中しているときもあれば、数人で会話している中で生まれるときもあります。みどりのアトリエでは使う人が、アイデアを考える場所を選べるという「選択制」をもたせました。

今回のブログでは、みどりのアトリエとはどんな空間なのかを説明していきたいと思います。

まず、大きく分けてオープンスペースと個室ブースがあります。

オープンスペース

オープンスペースの中には、小会議ができるテーブルが設置してあったり、リラックスできるソファがあったりと、オープンスペースの中でもゆるくゾーニングされています。

みどりのアトリエ ゾーニング        クリエーター科1年生 斎藤真梨乃 作

オープンスペースの中には3つのゾーニングがしてあり、スペース内を移動することで異なる環境で物事を考えることができるようにしています。

対話ゾーンで話し合った内容を集中ゾーンでまとめたり、リラックスゾーンにいながらも対話ゾーンでの話し合いに参加したりと、ゆるいゾーン分けをすることによってそこで会話がはじまるような空間になっています。

このオープンスペースにおける「対話」というのは、アイデアが生まれる1つの要因だと考えています。
私もみどりのアトリエの基礎設計を考える中でいろいろな方々と対話しながら組み上げていきました。
話すことによって自分の考えが整理されたり、聞いてもらうことによって自分にはない視点からの意見がでたりと、アイデアを生むのには「対話」が欠かせないものだと考え、オープンスペースを作りました。

先輩たちが楽しそうに建築の話し合いをしているところから着想を得た。

対話ゾーンには話し合いに必要なテーブル、ホワイトボード、モニターの設置を行いました。

設置したテーブルは当初、上記のような四角いテーブルにしようと思っていましたが、涌井学長から「角のあるテーブルじゃあ、フランクには話し合うことはできない。」「四角のテーブルでは正面に目線がきてしまい、話しづらいのでは」と助言をいただきました。
助言をもとに木工専攻の学生ともアイデアを協議し、セパレートタイプの円形のテーブルを製作しました。

この、テーブルついては木工専攻の渡辺先生がブログを書いていますので、そちらをご覧ください。

自力建設2020家具①「テーブル製作」事前打ち合わせ
https://www.forest.ac.jp/academy-archives/jiriki_furniture01/

自力建設2020家具②「テーブル製作」
https://www.forest.ac.jp/academy-archives/jiriki_furniture02/

集中ゾーンには、広い空間の中に一人で集中できる場所と、立って考えられる場所があります。

1人用テーブルは、横に図面や、参考資料をたくさん広げられように横幅をかなり広く取りました。

森林文化アカデミー、初のスタンディングデスクです。立って作業することで、ダラダラ作業することなく効率よく作業ができます。また、天板の高さ成人男性がパソコンで作業するのに丁度良い高さである、1020㎜に設定をしました。

ここまでは、頭をフル回転させてアイデアを生む空間の紹介をしてきました。アイデアはぼーっと、外を眺めているときに思いつくこともあります。みどりのアトリエでは、しっかりと頭を休める場所、リラックスゾーンがあります。

みどりのアトリエは、大開口で外が眺められ、川のせせらぎが聞こえる心地よい立地に建っています。そんな、みどり溢れる景色を見ながら休めたら気持ちがよいと思い、ソファを設置しました。

実はこのソファも木工専攻の人たちと一緒に作り上げました。

座面の大きさから、足の角度、Rのつけかたまでこだわりの詰まったソファになりました。

是非、このソファからの景色を見に来て欲しいです。

個室ブース

個室ブースは、下見板張りで覆われた1畳より少し広い空間になっています。集中するために内装は漆喰塗りでシンプルに作られています。昼光を取りいれるための最低限のFIX窓が2か所ついており、集中に特化した部屋となっています。また、集中するための快適な室温も、ウィンドウエアコンにより管理することができます。

学長には、個室ブースが仏教の瞑想方法の1つである「阿字観」に通じるものがあると言われました。
阿字観とは、梵字の「阿」の一字を観想し、仏のお心を頂く奥深い瞑想法。

程よい閉塞感によって1つのものに集中することができる空間になっています。

外が見える景色を最小限にして、外部からの情報を遮断している。

空間の選択制をもたすことで、利用者がその時の気分や目的に応じた場所でアイデアを練ることができます。

 

木造建築専攻 2年生 杉山 優真