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2017年06月17日(土)

木造建築の新しいかたち(その68)木質構造に関する住育の取り組み

実務者のスキルアップをする住育:専門技術者研修「木造建築の構造性能検討ツール演習」を開催しました。この一連の研修は、エクセルにて私小原が作成したツールや、無償で提供されているソフトなどを利用して、木造建築の構造性能の検討をツールやソフトを実際に使って演習する研修となっています。

第3回は『耐震診断 精密診断法2 保有水平耐力計算ツール』について開催しました。

まずは、保有水平耐力計算に関する説明を行いました。

保有水平耐力計算は、大地震時の倒壊防止について直接検討できる構造計算法になります。また、保有水平耐力計算での難しいポイントの一つは、構造特性係数Dsをどのように評価するかです。この木造のDsの考え方については、私の博士論文で発表したことが現行法規準に取り入れられていますので、私の十八番のひとつですから、いくらでも時間をかけても説明できます。

2012年より改定された耐震診断で、非住宅も耐震診断ができる手法として、この『耐震診断 精密診断法2 保有水平耐力計算』が位置づけられています。

次に、小原が開発した『耐震診断 精密診断法2 保有水平耐力計算ツール』を利用して、データ処理します。慣れてくると小一時間程度でデータ入力からデータ処理まででき、保有水平耐力のチェックや建物評点の算出、などをすることが可能になります。

木造の2階建て以下の住宅では通常の設計業務で保有水平耐力計算をしないと思いますが、壁量計算や許容応力度計算では実施していない、大地震時の倒壊防止の検討を直接実施して、岐阜県産材を利用した建物について、より一層安全な木造建築の設計へ繋げてほしいと考えています。

准教授  小原 勝彦