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2019年12月17日(火)

隈研吾先生と語ろう。木造建築の魅力

隈研吾先生がアカデミーに来るのは3度目!
毎回、建築学生と一緒に設計や講評をしていただくという贅沢な企画が催されています。
今回は、アカデミー構内に建設中の日本で最初の”森の入り口”「morinos」(モリノス)の現場打ち合わせに来られ、同時に建築学生とディスカッションする時間を設けてもらいました!

隈研吾氏現場管理

出来たばかりの「林業機械学習棟」に集まり、じっくり話をしようという企画です。
建築学生7名に対して、隈研吾先生、涌井学長、隈事務所の長井先生という顔ぶれ。何てリッチなイベントでしょう!

話のテーマは「木造建築の魅力」。まず学生ひとりひとりが自己紹介とともに自分の思う木造建築の魅力を5分語ります。次に隈先生や長井先生にも同じテーマで語っていただいて、みんな会話しながら、木造建築の新しい魅力を発見しようという狙いのディスカッションです。

 

学生さんの語った木造建築の魅力はこうでした。

牧原一樹さん:自然との共生と経年変化
森本豊茂さん:木の風合いは優しくて暖かい。木の家は巣。これからは木の時代
伊藤由美香さん:日本に似合うのは木の家
下田大輔さん:経年変化、同じ建物で同じ日数でも違う表情が生まれていく。
太目光さん:日本に合うのは木の建築。
松岡利香さん:木材は育てることで資源を増やすことができるという特徴がある。経年劣化ではなく「経年趣化」と呼び趣を感じたい
松下昌太郎さん:茶室にみられるような表現の多さが魅力。そして森林の危機とものづくりが同時にあるのは木造建築

おや?結構、似たような要素が上げられました。経年変化に魅力を感じる人が多いようです。
教員から見ても「へえ、そんなことに興味があったんだ。意外」と思う場面もあり、面白い発表でした。

 

隈事務所の長井先生は、遺伝子アルゴニズムの研究で東大の博士号を取得した建築材料学のスペシャリストでもあり、デザインもできる建築士で、今回のmorinosの担当をしていただいています。そんな長井先生は最近、材料としての木が面白くなってきたと言います。
「木材というのは、実はどこにもでも使うことが出来る。だからこそ難しく奥が深い。そして一本ずつストーリーがあるのが面白い」

隈研吾先生にとっての木造建築の魅力は何なのでしょうか。
「自分の生まれ育った横浜の大倉山は田舎だったが、東横線が通って急激に開発が進んだ。時代の移り変わりの中で、裏にあった農家が本当はかっこいいのではないかと思い始めた。僕はいつも材料から考える。材料というのは設計では普通、最後の仕上げの時に選ぶので、僕は逆。材料から決めると、自ずとその材料ならではの構造の在り方やデザインが出てくるし、材料について考える時間が非常に多くなる。これが大切だと思っている」

長井先生がスタッフとして話を挟みました。
「隈は設計中に、素材のスペシャリストとヒアリングするんですが、そのまま鵜呑みにするのではなく新しい使い方を提案して、一緒に考えてもらう。それで新しいものが埋めれることがあり、そこがすごいと思います」

「カッコつけないで馬鹿になって尋ねることが大事。それに、何かを思いつくときというのは、1人じゃない。3、4人で気楽にミーティングしている特に生まれる。いつでも対話の中からアイデアの種が出てくる」と隈先生。非常に示唆に富んだお話です。

涌井学長による話題のエスコートもあり、終始和気藹々とした雰囲気で、じっくりと話すことができました。(みんなよかったね!)

隈研吾先生、長井先生ありがとうございました!

 

 

建築教員:松井匠