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2020年01月28日(火)

活木処の建具が動くようになった?!

クリエーター科木造建築専攻とエンジニア科林産業コースの共通授業「メンテナンス実習」

授業の初日は、全学を見て回り、不具合箇所調査し対策案を添えて、報告書に取りまとめ、総務委員会に報告します。本体の校舎群は、アカデミー事務局を中心にメンテを進めていきますが、過去の自力建設は、学生の手で修繕していきます。

今年、目を付けたのは、2003年の自力建設「活木処(かっき)」。太陽熱を利用した木材乾燥庫です。

調査診断して報告書にまとめました。さすがに竣工後16年が経過すると、いろいろな個所に不具合が出てきます。

雨が降ると、庫内に雨水が入ってきます。これでは、適正に乾燥できません。

そこで、散水試験を実施することにしました。

まずは、雨水浸入経路の仮説を考えられるだけ考えます。学生全員で考えた可能性のある経路は7つ。

下から順番に散水して、浸入経路を明らかにします。

7つの浸水仮説の内、実際に漏ってきたのは、5か所。いろいろな個所から雨が入ってきています。

全ての部位について、対策を検討し、修繕していきます。

一番大掛かりだったのは、2.5m角の大開口の建具廻り。外してどのように対策するか考えます。

建具枠(框)を新たに作り直すことになりました。縦框を外してみると、すでに下部は褐色腐朽菌によって、断面が大きく損傷しています。

ヒノキの赤身材を用いて、再製作。大きいだけになかなか難航しましたが、そこは、自力建設で大工修行済みの学生たち。手際よく製作していきます。

下の写真が改修前の建具の様子。

そして、改修後の建具です。上框は再利用ですが、両方の縦框と下框は新規作成です。かなりスッキリしました。

雨仕舞の研究をしている学生が、この部分はコーキングを打つべきと、下框に、コーキング処理。隅々まで目を光らせています。

このほかにも、4か所の修繕を終え、今年度のメンテナンスの授業は終了。

横降りの雨の際に梁の割れから内部に浸水していた箇所を止めるために張った垂れ壁の向こうに、建設中のmorinosの姿が。

morinos来場の際は、向かいに建つ見た目は少し地味ですが、木材乾燥のアイデアのいっぱい詰まった「活木処」もぜひご覧ください。

准教授 辻充孝