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2016年11月03日(木)

在校生インタビュー① 岡亜希子さん(クリエーター科2年)

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森林文化アカデミーのクリエーター科に在籍する人のほとんどは、社会人経験者。大手企業や官公庁を退職してやってきた人も少なくありません。彼らは人生の岐路において何を考え、どのようにして森林文化アカデミーを選んだのか、インタビューしてみました。いま入学を検討している人に、きっと参考になるはずです。

 

●森林文化アカデミーに来る前は何をしていましたか?

大学卒業後すぐに栃木県の全寮制の中高男子校で住み込みの先生をしていました。その後東京へ戻って、首都圏近郊でやっている中学受験の塾に勤め、冒険教育、キャンプ、環境教育、ESD(持続可能な開発のための教育)などを担当していました。教員へのファシリテーション研修や、子どもたちが体験的に学んでいく場作りをする人の研修などが仕事でした。

 

●社会人としての勤務年数は?

12年です。

 

●新たに学び直そうと思ったのはいつ頃ですか?

2011年、3.11の年です。復興支援で東北の宮城に行っていて、仲の良かった自然学校が林業会社の人たちと復興支援をやり始めたんです。仮設住宅の中にペレットストーブを入れたり、中長期化してからは、仕事をなくした林業や製造業の人たちと何かできないかと動き始めたり。私は東京から時々通って一緒にやり始めて、それまで触れていなかった林業の人たちと触れる機会を持って、山に目が向くようになりました。それまでも学校に自然体験活動を導入することをやっていて、農業体験まではあったのですが、林業まで踏み込んでいる学校は少なくて。3.11以降、農業だけではなく林業にも目を向けるようなアピールを学校のほうへ、特に私立の中高の学校に対してし始めたのがきっかけです。

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●その時いったん仕事をやめて学び直そうと?

そこまでは思っていませんでした。幸い私は林業の人とつながったりチェーンソー講習を受けに行ったり、勤務しながらチャレンジができる会社だったので、当時は仕事の中でやり続けようと思っていたんですけど、3年ぐらい続けてきて、人には林業体験を勧めつつ自分自身が山へ行けないし、東京に住んでいたので近くにもいない。そこに矛盾を感じてきたのが2〜3年してからです。

 

●アカデミーはどこで知ったのですか?

塾の仕事をしている中で、自然体験活動を自分自身もやっていたし、自然学校の人たちと知り合うことが増えて、森林文化アカデミーのナバさん(萩原裕作准教授)とは前職の間に会っていました。県立の変な学校があるなあと(笑)。そういう人たちのネットワークである日本エコツーリズムセンターというNPOにも関わっていて、メールマガジンでナバさんがアカデミーの情報を時々流していたので、ずっと頭の中にありました。

 

●学び直す時にほかの選択肢はなかったですか?

そうですね。どこかの地域へ「地域おこし協力隊」で入るということとの天秤だったかな。でも地域のあてがあるわけでもなかったので。あまり迷っていないかもしれないです。あと、追加入試があったのも大きかったです。会社を辞めようと決めたのが1月で、ナバさんから「今年は追加入試があります」というメールが来たのも1月、会社に受験することを伝えたのが2月、受験したのが3月です。タイミングが合ったということですね。

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●30代半ばで職を失う不安というのはなかったですか?

会社を辞める不安はありませんでした。卒業後にどうなっているかという不安はゼロではなかったですけど、そんなに言うほどは。なんとかなるかなと(笑)。父親にも、2年間は学べるからいいよね、その後をどうするかだねと言われましたけど、その時はその時で何かあるはず、と思っていました。

 

●入学してみて1年半、実際の授業やその他の活動はどうですか?

入学前は、林業、木工、建築、環境教育、山村活性が網羅して学べるというイメージが強くて、だからアカデミーを選んだところがあって、私の頃はまだ講座制だったので分属があるけれども(※)、5つ全部という感覚がイメージとして大きかったんです。入学してみて、時間割とにらめっこしながら履修登録していく中で、時間は有限であることが分かってきました(笑)。木工を習得するためにはそれだけの時間を使わなければ、とか、ちょっとやりたいというのはなかなか難しいというのが見えてきたり。建築なんか本当にそうですし。そういう意味では1年目は山村づくり講座の授業を主軸に取り、その中身はすごく私にとって有意義で楽しかった反面、意外と他の講座の授業には首を突っ込む余裕がなかった、というのは入ってみてわかったことです。「地域って何?」というところを自分なりに知りたかったのが入学理由の1つでしたが、1年目でだいぶん希望に沿う内容を学べました。
※注:2015(平成27)年度入学生までは5つの講座に分かれていたが、2016(平成28)年度からは森林利活用分野(林業・森林環境教育)・木材利用分野(木造建築・木工)の2つに分かれることになった。

 

●地域を学びたかったのは、自分が地域での暮らしや仕事をしていなかったからですか?

そうですね。いわゆる新興住宅地に住んでいて、昔からその土地にいる人も少なく、隣何軒かをかろうじて知っている、コミュニティと言えるような言えないようなところで暮らしていたので、「地域」って何だろうというのが分からなくて。山に近づきたかったというのと地域に迫りたかったというのが入学の動機でした。1年目で、いろいろな地域に行っていろいろな人と会って、山という自然資源にももちろん興味はあるけれどやはりそこに暮らす人に興味があるんだなあというのを最近自覚しました。

 

●2年目では授業の選び方を変えていきましたか?

2年目の授業のとり方としては、木工系を1年生に混じって履修していくスタイルに変えました。それは、人工林ではなくて里山をどう利活用していくかということにまず関心を持ったので、やはり木を薪とか炭にするだけではなく、自分が使える道具や暮らしの物を作り出していけるようになりたいなと、1年目の途中から思い始めたところがあって。手工具にしても木工機械にしてもどこまで卒業後に使うか分からないけど、最低限は知っておける状態にしようと、2年目に木工の授業をベースに取るように変えました。 引き続き、自然科学系や里山系の授業は取っています。 ほかに1年生の時からオープンカレッジのスタッフをやっていて、授業の単位にはならないけれど、オープンカレッジからの学びも大きいです。講座の中身そのものも受講生に並んで学べてしまうし、運営していく側も見られます。1年目は「里山景観マイスター」のベーシックとアドバンスと「里山ビジネスカフェ」。自然資源も文化資本も含め、地域の資源をどう活かしていくかを学びました。あとは「グリーンウッドワーク指導者養成講座」。今年は「古民家リノベーション講座」に入らせてもらっています。

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●森林文化アカデミーの良さはどんなところですか?

やっぱり学生数に対する教員数の多さですね。贅沢です。時に大変だけど(笑)。私が休んじゃったら授業に1人もいなくなる、とか。だから気を遣うけど、逆に日程調整ができちゃうことも。移動中の車の中での先生や同級生たちとの会話は、授業内だけど、授業じゃないようなやりとりで、結構面白いですね。今までいろんな学校を見てきているだけに、ここまでの教員:学生比の学校はすごく贅沢だなと思いました。
※注:森林文化アカデミーの常勤教員は17人、学生定員は80人(エンジニア科20人✕2学年、クリエーター科20人✕2学年)。

 

●森林文化アカデミーにリクエストしたいことは?

里山も活かしながら自伐林業をやっているような人が先生として入ったら、すごく楽しいかなと思います。

 

●卒業後の進路は決まりましたか?

2つで迷っています。1つお誘いをいただいているのは東京の会社で、日本の林業を再生したい、山の魅力や木を使う暮らしの魅力を発信したいという6人だけの会社です。木工所と組んだプロダクト展開をやっていたり、内装の木質化をやっていたり、木育事業をやっていたり、また会社は都心なのですが、東京の田舎のほうで地域おこしに関わり始めていたり、6人とは思えないほどの活動をしています。
もう1つは岡山県の倉敷市玉島というところです。山からは離れてしまうのですが、廃材を使ったものづくり=クリエイティブリユースという活動をしながら、その考え方をベースに地域づくりをしようとしている方がいて、一緒に空き家の流動化や、ものづくり精神をコミュニティで育んでいこうという活動に参加したくて、そこに飛び込むか、どちらか悩んでいます。 私がそこに入ったら、森や木に関わる活動も取り入れようと思っています。地域は海寄りですが、山の人とつながってグリーンウッドワークをしたりとか。その地域を丁寧に見ていくと、焼き杉を使った住宅が昔のまま残っていたり、木を使った道具がたくさん残っていたり、当たり前に木が使われていました。川下だからこその技術や文化があって、私から見たら面白い地域。活動している仲間の中には、椅子メーカーで設計をしていた方がいたり、和船職人の息子さんがいたり、アーティストがいたり、地元の人も移住者も時折訪ねて来る人もいて、とにかく多様なんです。多様だからこそ、私自身の視点と強みを持って関わることで、木や山とつなげられるのではと思っています。

 

●30代後半からでは就職は大変だというイメージがありますが、実際にはどうですか?

リクナビ、マイナビから探すということはしていません。岡山の場合は、この人の生き方や暮らし方の近くにしばらくいてみたいと思える、モデルにしたい人と出会えたんです。地域の魅力もあるけれど人の魅力。東京の方もアカデミーで分野や講座を超えていろんな活動に首を突っ込んでいく中で知り合った会社です。私の場合、不安はもちろんありましたけど、嗅覚を活かして、結果的には「ココ!」という人や場と出会えた気がします。

 

●出会いはあったとしても、就職への道は開かれていく感じはありますか?

自然に開かれていく感じはあまりないですね。自ら動くことですね。岡山はまだ事業化されておらず就職という形にはならないので、そちらへ行くなら別のところで3〜4日契約社員的に働きつつ、地域づくりをお手伝いするという二足のわらじ的な生活になります。東京のほうなら正社員になります。

 

●いろんな働き方を想定しながら動いているのでしょうか?

そうですね。相手に合わせるというより、自分がどう動きたいか、1週間の時間をどう使いたいか、40歳ぐらいまでの時間をどう過ごしたいかという設計の中で、最終的には選ぶと思います。 岡山は、自分で仕事を作り出していくことになるので、時間も必要。そのためには別のところで正社員になると時間を取られてしまうので、3〜4日働けるところを探しています。

 

●人生選択を検討中の人へどんなメッセージやアドバイスを?

自分としては、アカデミーに来て後悔したことは一度もないですね。 アドバイスは難しいなあ・・・楽しいですよ、木は(笑)。


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