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2017年04月28日(金)

「飛騨産業」木製家具の新しい可能性

この日は、クリエーター科2年生の授業「森林から木材暮らしへ2」で、
岐阜県高山の「飛騨産業株式会社」にお邪魔しました。
わたしも個人的に、とても楽しみにしていた講義です。

先ず、総務課長の内木さんから、飛騨産業の歴史をご説明いただきました。
97年前、二人の旅人から伝わった「曲げ木技術」が、地場のブナと伝統技によってモダンな椅子を生み、
時代の流れと共に変遷しながら、数々の試行錯誤によって、日本が誇る木製家具ブランドに至るまでのお話です。
なかでも、それまで捨てられていた「節」のある材を敢えて使うことで、
植物の強い息遣いを伝えるデザインとした「森のことば」シリーズによって、家具製作の常識を変えたお話には感動でした。

続いて、棚橋光彦博士による、木材の圧縮技術についてのお話。
桧のハートに、桧の矢が通ったオブジェを、突然渡されるアカデミー生。

これが材木の圧縮技術です。どうやって矢を通したと思いますか?(答えはこの記事の最後にあります)

下の写真は、丸太を四角く圧縮しています。
持つと、すごく重い。硬い。
一見異様な加工に見えますが、触れると、不思議と木そのものの良さが生きているように感じます。
化学薬品を使わず、圧縮後にそれを「固定」する方法を発見したことが重要だった、と棚橋博士。

圧縮成形加工によって「高強度化」「高密度化」「三次元加工」が可能になり、材木の可能性が大きく広がりました。

桧が1/3まで圧縮固定されています。

圧縮成形加工による頑丈な木製スマホケース。

これは、竹を平板化し、永久固定したもの。
みなさん、呆気にとられてしまいました。

ふつう家具には使われない「杉」を圧縮成形加工によって強度を増すことで、今までにない風合いを獲得した「KISARAGI」ダイニングチェアはグッドデザイン金賞を受賞。杉材利用の新たな世界を拓きました。

お昼の後は、棚橋博士の研究所へ。
ここで日々、木材の可能性を研究しておられます。
興味を持った若い人がいたら、ぜひ一緒に研究していきたい、と棚橋博士。
この優れた技術を受け継ぐ人材を募集中です。

「森のことば」シリーズの生みの親である岡田社長が、お忙しい中ご挨拶に来てくださいました。
アカデミーで木について学び、優れた技術を身に着けて、世界に羽ばたいてほしいと激励の言葉をいただきました。

そして、いよいよ工場見学。
品質保証室の白田さんが、丁寧にご案内してくれました。

飛騨産業は、すべて受注生産で家具をつくっています。
効率化されたラインと、精度の高い手作業で、丁寧にひとつずつ、それでいて素早く仕上げていきます。
早い流れの中でも、二時間に一回、全員が作業を止め、掃除をするので、工場はどこもかしこもピカピカです。

椅子の背もたれを、蒸して曲げているところ。
工場には若い職人さんを多く見かけました。
飛騨産業では、全寮制の施設で職人育成も行っており、新しい「飛騨の匠」を生み続けています。

組み上がった椅子が並んでいます。思わず触れたくなるフォルムです。

本社事務所に展示されていた「森のことば」シリーズのソファ。
節をうまく取り入れていて、親しみやすく、グレード感のあるデザインになっています。

日本の誇る木製家具の製造技術とその思想を体験し、感動の余韻の中、見学は終了しました。
木工専攻の学生だけでなく、木材利用の可能性や、建築デザインにも示唆をうけた実習となりました。
飛騨産業株式会社のみなさまに改めて御礼申し上げます。

(矢をハートの穴に通す方法の答えは、圧縮した矢の先だけ「固定」せず、通したあとに戻す、というものでした!)

 

松井匠(木造建築 講師)


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