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2016年10月11日(火)

国内研修レポート 1日目:香川県 ジョージ ナカシマ記念館

毎年クリエーター科、エンジニア科の2年生対象に国内研修という授業があり、泊りがけで先進事例などを視察に行きます。今年は「四国」。その初日は香川県のジョージナカシマ記念館に行きました。
以下、クリエーター科学生のレポートです。

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ジョージナカシマ記念館

国内研修の初日は、ジョージナカシマ記念館を訪れました。「ジョージナカシマ」という名は、アカデミーの椅子の授業で知り、目下ウィンザーチェア製作中の身としては、実物の椅子を見られることが楽しみな場所でした。

ジョージナカシマ記念館

家具というのは50年経つとヴィンテージ、100年経つとアンティークとして扱われるとのことで、記念館にあるものは全てヴィンテージであるとのことでした。記念館ではジョージの生い立ちや木工の道へ進むに至った経緯など、詳しくご説明頂きました。ジョージは学生時代には森林学と建築学を学び、当初は建築の分野で活動していましたが、当時、日系二世としてアメリカで活動するには日本人への風当たりは厳しいものがあったそうです。またアメリカ人の仕事の仕方に対しても、ジョージは満足できなかったということです。それ故、チームではなく一人で全てを統合できる家具作りの道へ進みました。ジョージは、少年時代はボーイスカウトに入っており、その後、森林学を学んでいることから、森や木のことが生涯を通じて好きだったのだろう、とジョージと森林文化アカデミーで学ぶ自分達の姿と重ねてみたり、だからこそ、ジョージの作品は木を活かすことにこだわっているのだろうと思ったりしながら、作品を見て回りました。

数ある作品の中で印象的だったのは、「クロスレッグテーブル」という、天板をトラス構造の脚で支えたテーブルです。建築を学んでいたジョージだからこそとも言える作品で、「家(建築物)みたい」なテーブルでした。ジョージは、ベースとトップの調和を大事にした作品づくりをしているとのことでしたが、それがよく分かる作品です。余談となりますが、通常、家具製作においてテーブルは利益率が高いものですが、このように複雑な構造になると非常に手間がかかっており、ジョージの場合は、セレブに重用されることでこうした作品づくりに力を注ぐことができたそうです。

ジョージナカシマ記念館

説明を聞いて展示作品をみると、ジョージは木が長い年月を生きて自分の手元にやってきたということへ慈しみを持ち、木がそれまでどんな風に生きてきたかということに敬意を払っていたように感じました。嵐によってできた傷を隠さずに見せている作品もあるそうで、展示してある作品の中でも木目や色、割れ、そういったものをとても綺麗にみせていました。ジョージはインドの思想に大きな影響を受けたとのことですが、私にはジョージの日本人の部分やインドからの影響といったオリエンタルな部分が、アメリカにおいて発揮されてそのような作品になったのではないかと思えました。現在では、節や割れがある木で作る家具は、そう珍しいものではありません。だから、そこに対する新鮮味を感じることはできなかったのですが、むしろ、半世紀以上を経てその価値観を共有していることに驚き、今、ジョージが存命ならばどんな作品を作ったのだろう、と思いつつ記念館を後にしました。

ジョージナカシマ記念館

(クリエーター科2年 草刈)