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2025年11月13日(木)

流通させるために必要な視点を学ぶ:獣害対策PG

獣害対策と共にジビエの活用が各地で進んでいます

捕獲した狩猟獣は基本的に自家消費が原則となりますが、適切な捕獲方法と衛生管理のルールに則り搬入された個体はジビエ解体処理施設で適切に処理され、一般的な食品流通が可能になります。※営業許可を得ていない人(自家消費)が市販することは違法行為に当たります。

 

森林被害を防ぐために捕獲する野生動物ですが、得てして副産物(肉など)を得ることで地域資源として活用する動きもあります。自家消費で自ら食べるだけでなく、市場に流通させるために必要な解体の技術と衛生管理について学ぶことで利活用の視点を養うべく、高山市に2024年開業した「株式会社飛騨高山  舞地美恵」を訪れました。

飛騨高山舞地美恵 代表の田中恵美様

代表の田中さんは過去に行政で鳥獣対策を担っていた経験と、家族が家庭菜園をイノシシの被害にあって落ち込んでいる姿を見たことから、自ら「狩猟」の世界に飛び込んだそうです。狩猟と野生動物の現状をレクチャーしてもらいますが、山深い高山市での捕獲の難しさと田舎ならではのマンパワーの不足によるバッファゾーン(緩衝地帯)の維持の難しさを教えて頂きました。また、高山市では2~3年前まではニホンジカのいなかったエリアに生息域が拡大している様です。他の地域からすると最近の話題なので、これからの影響が心配です。

解体処理施設を見学する前に高山市の現状を教えて頂きました

捕獲した個体の「歩留まり」については、銃・箱罠・くくり罠で捕獲する場合ではそれぞれ異なります。捕獲方法と捕獲者の技術で利用できる割合が変わるという事は、肉を流通させる上でのコストが変わる事に直結する為意識しておかねばなりません。また、他社との差別化をするために食品製造事業における厳しい基準のJFS-B規格を取得しています。家畜ではなく野生動物を扱うという特性上、高い衛生管理レベルが達成できていないと基準を満たすことが出来ないそうです。

豚熱対策でイノシシとそれ以外を分けたリスク分散を行っています

森林文化アカデミーの学内にある解体を学ぶ施設とは異なり、衛生管理が徹底され、豚熱対策や熟成庫など食品を扱うのに必要な対策を講じた施設を見せていただく事が出来ました。扱う個体の状況(毛皮つき・皮むき後・枝肉など)に応じて扱う道具の色分けがされており、シーンに応じた管理が徹底されていました。

解体中の個体が無い状態で特別に施設内に入れて頂きました

夜には舞地美恵で購入させていただいた「イノシシ肉」でカレーを自炊して皆で食べました。とても食べやすく、あっという間に教員・学生のお腹の中に吸収されたのでした。知識・ビジュアル・食・香りと多くの視点で野生動物を学ぶ1日でした。

皆で自炊して作ったイノシシカレー

 

視察に際してご協力いただきました

飛騨高山舞地美恵 田中様、池田様

森林文化アカデミー 田中さん

ありがとうございました!

 

報告:新津裕(YUTA)