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2025年05月28日(水)

林業事業体の経営について学ぶ

クリエーター科1年、2年の林業専攻が対象の「事業体経営」の活動報告です。

非常勤講師として、鹿児島大学の牧野先生、株式会社鹿児島総合研究所の新永先生に来て頂きました。

 

鹿児島大学の牧野先生です。牧野先生には、施業地を集約化するために必要な考え方、態度、情報などを講義とシミュレーションを通して教えて頂きました。

 

林業という経済活動を考えた際に、活動に関わるのは森林所有者、森林組合、素材生産会社などですが、

「木材」の売上は誰のものでしょうか?

林業とは「木を伐る」仕事が主な仕事でしょうか?

世間一般の人にとっては、山は誰が所有しているのか、木は誰の持ち物なのか、あまりイメージできない人も多いかと。入学したての1年生にとっても同じです。林業という産業において、どんな人たち関わっているのか、どんな行動原理で意思決定をしているのか、この授業を通して学んでいきます。

 

林業には造林、下刈りなど様々な作業種がありますが、今回は木材を生産する事業を想定しました。まずは林業機械の選択です。機械カードに購入価格と生産性、機械サイズなどが記されており、どの機械を導入するか、森林技術者を何名雇用するのか、意思決定します。

新永先生に、会社経営に必要な知識として、会計、給与、機械投資、損益分岐などを教えて頂いた後、機械の選択、社員数の検討を行います。

続いて、施業地の集約化です。機械を持っているだけでは仕事が出来ません。日本の森林は小規模所有者が多いのが特徴。集約化という森林所有者のとりまとめを行わないと、道の開設や木材の搬出ができません。

実際の航空写真、林小班図を基に、集約化を行いたい小班の検討を行います。

さあ検討が終わればさっそく木材搬出!というわけにはいかないのが現状です。

それぞれ森林所有者がいて、承諾を取らないといけません。

 

所在が不明な方、遠方に住んでいる方、村内に住んでいる方などそれぞれ、

また果たして設計した見積もりで承諾がとれるかどうか…

 

実際に森林所有者に対して営業を行います!

所有者役に対して、見積もりを持って提案しに行きます。所有者によってあらかじめシナリオが決められており(提案する方は知りません)、門前払いされるケースも…。

 

やってみると、結構大変な作業ですね。山がたくさんあるから仕事ができると思いきや、細かい所有形態の森林であるがゆえ、それぞれの所有者に提案して承諾を得るのは、結構骨が折れる作業です。また提案を行う側は、「会社が事業を行う目的は何か」「森林所有者にどのような説明を行うか」「提示すべき事柄は何か」しっかり腑に落ちていないと、なかなか森林所有者に納得してもらえません。

 

施業の集約化が終われば、木材搬出を行い、会社の精算作業も行いました。

 

森林所有者、森林組合、素材生産事業体、木材市場などいろいろな関係者が林業に携わる中で、それぞれの立ち位置、活動範囲、利益を得るために必要なことを、シミュレーションを通して学びました。今後、様々な会社を見学したり、卒業先として関わったりする中で、相手を理解するための共通言語が出来たと思います。経営に関する授業は今後も続きます。引き続き、学んでいきましょう!

 

林業専攻:杉本