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2016年07月10日(日)

荘川の広葉樹林を見る 〜クリエーター科1年「森林の姿」

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クリエーター科1年生の『森林の姿』という授業で岐阜県高山市荘川町にある荘川広葉樹総合試験林を見学してきました。2016年05月26日(木)の記事で、クリエーター科林業系2年生による同試験林での演習の様子が紹介されていますが、1年生は林業系に関わらず全員で見学に行き、広葉樹林の施業と木材利用について学びました。30年生のカツラ/ケヤキ/クリ人工林→120年生のミズナラ天然林→30年生のブナ人工林を回り、現地で現物を見ながら考察するという内容です。

私たちを乗せたバスは未舗装の山道をひた走り、試験林の入り口に到着。本日の見学内容の説明を受けた後、笹が生い茂る山道に入っていきます。学生が驚きの声を上げる中、先生はぐんぐん進んでいきます。

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まずはカツラの植栽地。胸高直径は100〜200mmくらいと少し細め。雪で曲がってしまったものや、後生枝と呼ばれる枝が出ているものもありました。

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少し登ってケヤキの植栽地。ケヤキの幹はカツラより細く、まっすぐと伸びている木が少なく曲がっている木が多くありました。

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さらに登ってクリの植栽地。カツラ、ケヤキに比べ太さもあり、しっかりと育っている印象です。

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現地の状況からクリの植栽地は適していたようですが、カツラとケヤキは適していなかったようです。横井先生の言う「広葉樹は樹種に適した場所に植栽しないと育たない」を実感しました。広葉樹は植えられた土壌が少し違っただけで成長に影響が出てしまうくらい立地に敏感であるとのことです。

今回の見学には木工が専門である久津輪先生も同行されており、樹種ごとの材質や使用用途も同時に学びました。製品の姿は知っていても、何の木が使われているのか知らないものも多く、あちこちから「へぇ〜」「あぁ〜」と聞こえてきます。広葉樹施業のスペシャリストと木工のスペシャリストから同時に学ぶこができる。アカデミーならではです。

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山道の途中で転げ落ちそうになりながら昼食を取りました。アカデミーならでは?

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食事する学生を温かく見守る横井先生。

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これは何の葉っぱ?みんな好奇心旺盛です。

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学校に生えていない稚樹を見つけたら、頂いて育てます(事前に許可をいただいています)。

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天然林(約120年生の二次林)では立派なミズナラが立っていました。

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「太く育っている木とそうでない木の違いは?」横井先生から質問が投げかけられます。現物を観察しながらよく見ると、枝が地面に近い場所から生えている木ほど太く成長しています。葉を多くつける上で重要とのことです。

しかし横井先生は「枝があれば良いというものではない。」と続けます。

枝より下メインの収穫部分なので、枝が枯れ上がっている方が長尺の材が取れます。収穫できる幹の太さと長さはトレードオフの関係で、収穫した材を何にどのように使うかを考えて手入れしていくことが非常に重要とのことです。

 

急斜面を滑りながら降りていきます。

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最後はブナ人工林です。針葉樹人工林のように先人たちによる過去の経験が蓄積されていないため、広葉樹人工林の手入れは自然の原則に則って施業プランを組み立てていくことが必要です。例えば間伐では、育てたい木を決めて、その木の成長を妨げる周囲の木を伐採する…立姿から利用時のことも考慮して…といった具合です。

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最後にキハダを味見しました。最近の薬にはない苦み。懐かしい感じです。

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学校に帰ってきた後、「広葉樹の森を作ろうプロジェクト」のメンバーで採ってきた稚樹を植えました。成長した姿とあまりに違う見た目に驚き。本当に広葉樹は多様です。

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報告:池冨士裕(クリエーター科1年)