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2019年01月22日(火)

教員お気に入りのアイテム16:「クッキングストーブSVEA123」伊佐治 彰祥

SVEA123 Sweden製。

ガソリンを燃料とするこのクッキングストーブは、今から40年程前、私がまだ高校生の頃、名古屋駅近くにあった登山用品店で、友人とお揃いで購入した。購入価格は、定価よりかなり安く、4千円弱だったと記憶する。
その後、バーナーノズルにセルフクリーニング機能が付加された改良版のSVEA123Rが発売されているので、旧モデルの特売だったのかもしれない。
ちなみにSVEA123、今ではヴィンテージ物に分類されるらしく、程度が良ければ購入価格より高く売れるとのこと。そうなると“R”が付かない初期モデルであることがかえって嬉しかったりもする。

当時、アウトドアの分野ではアメリカンバックパッキングがブームだった。私たちはヨセミテ国立公園でのバックパッキングに憧れ、四つポケのフレームザック、クッキングストーブ、メスキット(フライパンとコッフェル等を組み合わせた食器セット) 等がマストアイテムとして欲しいものリストに並んでいた。
中でもクッキングストーブは筆頭グッズだったので、私たちはこの特売に出会えたことをとても喜んだ。

右から メスキット、SVEA123、SIGボトル

このタイプのストーブは、使用前にプレヒート(あらかじめストーブを加熱し液体燃料をガス化させる準備作業)が必要で、今時のストーブと比べると一手間かかる。
正しいプレヒートは、固形燃料等を使ってバーナーを加熱して行う。程よくプレヒートができれば、燃料はしっかりガス化し、点火直後から安定した炎が得られる。
当然、手抜きの手法もある。タンクを手の平で暖め、内圧でノズルから浸みだしたガソリンに火を付け、プレヒートする方法だ。
このストーブを買った時、ひげもじゃの厳つい店員さんが「テントの中ではやるな!」、「ノズルを閉め忘れるな。生ガソリンが噴出して火事になるぞ!」などと楽しそうに説明しながら実演してくれたことを思い出す。

私たちが、ひと手間かかるガソリンストーブを選んだのには訳がある。
当時もクッキングストーブには、ガス、灯油、アルコール(固形・液体)の選択肢があり、中でもガスストーブは火力もあり便利で扱いやすいということは私たちもわかっていた。
しかし、硬派のバックパッカーを気取る私たちは、ガスストーブは軟弱者の道具だと決めつけていて(灯油はでかくて燃料が臭く、アルコールは非力etc)決してそれを選ぶわけにはいかなかったのだ。

プレヒートの時は、バーナー付け根の窪みに、固形燃料を置いて火を付ける

このSVEA 123、今も現役で、時々冬の山歩きに持っていく。
プレヒートは、やはり手抜きをしてしまう。(※この方法は、おすすめしません。)
手の平でタンクを温める。浸みだしたガソリンをバーナー付け根の窪みにため、火を付ける。
ストーブが冷えていてガソリンがなかなか出ない時は、タンクに適当な枝を突っ込んでガソリンに浸し、それに火を付けても良い。
ガソリンが燃え切ったらノズルを開き、バーナーに点火する。
初めは生ガスが時折混じり赤い炎が立つ。
ストーブが温まるにつれ燃焼が安定し、青い炎の勢いも増す。
静かな山の中での燃焼音は轟音に等しい。


このエッセイをきっかけに、物置から当時のアウトドア雑誌を引っ張り出してきた。
ノースフェイス、シェラデザインなど、アウトドアブランドの広告が誌面に並ぶ。

今では身近なこれらのブランドも、当時は日本に紹介されて間がなく、学生にとってはどれも高根の花だった。
その反動か大学生になった頃には、目先がバックパッキングから登山に移り、あれほど憧れた4つポケフレームザックは、地味なカリマーのアタックザックに代わっていた。

ミーハー学生だったあの頃の思い出が次々に蘇える。ニヤニヤが止まらない。

 

伊佐治 彰祥

 

 

 

専門分野 林業技術
森林獣害対策
最終学歴 日本大学農獣医学部林学科
研究テーマ 森林獣害対策担い手育成

 

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伊佐治 彰祥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

専門分野  林業技術 森林獣害対策

最終学歴  日本大学農獣医学部林学科

研究テーマ 森林獣害対策担い手育成