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2023年11月10日(金)

小学校の授業でアカデミー生がプログラム実施〜その1「火おこし体験」

アカデミーの学生が、郡上市の市立明宝小学校5年生の「総合的な学習の時間」で、プログラムを実施しました。

明宝小学校では「ななさとタイム」として、1年を通して身近な地域の川や山のことを学んでいます。
今回は<明宝の山のよさを知る>というテーマを地元のNPO法人が相談を受け、小学校で取り組みたい内容がアカデミー生が取り組んでいたものとちょうどつながっていたため、小学校でのプログラム実習をさせていただきました。

明宝小5年生・11名に、身近な山や森にどのように興味を持ってもらうか・・・。学校の先生、NPOの担当の方、アカデミー生、そしてアカデミー教員も加わり、森に囲まれた地域だからできる講座を組み立てていきます。

 


 

10/11、1回目は間伐体験です。
事前学習で間伐について学んだ生徒のみなさん。実際に山に行き、木を倒すところを体験しました。
地元の林業グループ「明宝山里研究会」が講師となり、劣勢木のスギを間引きます。こどもたちはロープで引っ張ってサポート。倒れた木は、生徒が枝を手ノコで切り、指定された長さで玉切りをしました。

間伐体験の後は、火おこし体験です。担当は、「火のインタープリター」を研究している、森林環境教育2年の福田一葉さんです。

森が身近な明宝のこどもたちは、これまで火を起こしたことはあるけど、森の中から自分たちで材料を集めて火を起こすのは初めて、というこどもがほとんどで、皆真剣に取り組んでいました。

プログラムを担当した、福田さんのレポートです。

 


 

火起こし体験は、福田が担当しました。

今回は、森の中にあるものがエネルギーになることに気づいてもらうことをねらいとしてプログラムを作っていきました。
説明する時間をできる限り少なくして体験する時間を増やすこと、口出ししすぎないことを意識して進めていきました。

プログラムの内容としては、まず<火がつくには、何が必要か>を考えてもらいます。
その後、マッチの練習、枝への火の付け方を紹介し、必要なものを森で拾い、火をつけていくという流れです。
今回は「ソロストーブ」というもので、こどもたち一人一人が火を起こし、火の管理をしてもらいます。

森の中で、夢中になって素材となるスギの葉や枝を探していている様子もみえました。
そして実際に火をつけてみると、枝が全然足らなかったり、逆にたくさん余ってしまったり。

はじめに火起こしをすると伝えると、すかさず「マシュマロを焼きたい!」という声がありました。
火を扱うと、人は何かを炙りたくなったりするのは不思議だなと感じます。

今回のプログラムでは、火がついた後、火を安定させながら、マシュマロと、地元特産の「明宝ハム」を炙って食べました。
炙っているうちに火が消えてしまったり、燃料の枝が足りなくなったりと、火を安定させるのが難しかったようです。

今回は、担任の先生にも子どもたちと一緒に体験してもらいました。
先生が一方的に教えるのではなく、一緒に考え、やっていく姿が、個人的にはすごく印象的でした。

最後に安全な火の片付け方を説明し、終了しました。

子どもたちからは、
「火をつけて、その火をそのままの形でおいておくことが難しかった」
「火を大きくすることが難しかった」
「細いものから太いものへと火がつくことを初めて知った」
「スギの葉がすぐ燃えてなくなったことが印象的だった」

などの感想をもらいました。そして、

「マシュマロや明宝ハムが美味しかった」

という感想も、もちろんありました。

火を扱うプログラムで、そこに食べ物を追加すると「食べ物が美味しかった」という印象が強く残ってしまうことが悩ましい点です。
ですが、目的もなく火をつけるのも違うな、とも思っています。

明宝ハムは、IHコンロとフライパンを使って簡単に焼けますが、
”森の中にある素材で火をつけて、それで炙って食べたこと”が、明宝の子の中に残ればいいなと思い、今回のプログラムにしました。

そして、火のプログラムを小学生に実践するのは、今回が初めてでした。
今回このプログラムを実践してみて、子どもでもわかる言葉の選び方が難しいと感じました。
何を話すのか言葉を事前に考えてから本番に挑みましたが、うまく伝わらない部分もありました。
もっと火のことを学び、小学生でもよく分かるような言い回しを考え、実践していくことが今後の課題です。

参加してくれた明宝小学校5年生のみなさん、先生方 、サポートしてくださった方々、ありがとうございました!(福田)

 


 

無事皆火を起こせたこどもたち。
「帰ってみんなに自慢しよう!」と、とても楽しかった様子でした。
福田さんお疲れ様でした!

明宝小のみなさんは、間伐も火起こしも、自分でやりたい!という生徒ばかりで、大変だけど最後まで目をキラキラさせて取り組む姿が印象的でした。

「次のものづくりも楽しみ!」と、楽しそうに学校に帰っていきました。

アカデミー学生による小学校の講座は、2回目のものづくりに続きます。

森林環境教育専攻 准教授 小林(こばけん)