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2025年10月30日(木)

日独連携シンポジウム「ユースファームってどんなとこ?」(森林環境教育分科会)大盛況でした!!

日独連携シンポジウム2日目、各分野に分かれてのワークショップが開催されました。森林環境教育は「ユースファームってどんなとこ?」トーク&ワークショップを実施。40名以上の方が県内外から参加してくれました。

シュトゥットガルト近郊にある世界で2番めに古いユースファームで働くAntje Fydrichさんを講師にお迎えし、午前中は、ドイツの子どもたちを取り巻く環境とユースファームの現状、そしてそのメリットについてパワーポイントを通して語っていただきました。

印象的だったのは、ドイツの教育目標が、「自信」と「責任感」を持ち、「自立」した市民を育成すること、と非常にはっきりしていることです。また社会法典第8条には「青少年はその視聴を支援する青少年活動及び地域活動の機会が提供されなければならない」と書かれていて、まさに「未来の国民」をしっかりと社会として育成していこうという社会的意識の高さにも驚きました。

そしてそれらを保証するために、ユースファームは理想的な環境であり、学校や家とは異なる第3の居場所「サードプレイス」としての機能も非常に高いことがわかりました。自然環境とのつながり、命とのつながり、食とのつながり、社会とのつながり、自分とのつながりを実感を通して習得していける空間なのです。

単なる農場や遊び場ではなく、「未来の人づくり、コミュニティづくり」のための空間だったのです。そしてそれが、社会的背景や立場に関係なく、誰もがアクセスできるようにすることが大切なんだそうです。

お昼を挟んだ午後は、ユースファーム内にある建築遊び場(子どもたちが2階建ての小屋を自由にセルフビルドしたり家どうしをつなぐ高さ2mくらいの回廊をつくったりする人気空間)で遊ぶ前に、最初に受けなければならない「建築技術証明書」をもらうためのワークをみんなで体験しました。

長さの違う釘を5本打ったり、それらを全部キレイに抜いたり、角材を指定の時間内でのこぎりで切ったりと、なかなかハードな内容にみんな大興奮!お互いにフォローし合いながら、皆さん無事終了証をAntjeさんからもらってました。

実はこの「釘を抜く」という作業には訳があるんです。Antjeさんのユースファームでは、釘はタダでは手に入りません。集められた廃材から3本釘を抜くか、焚き火の中にある焼けた釘を5本集めると、新しいクギが1本もらえるそうです。 そうすることで、自由と責任、社会や経済とのつながり、遊び場を自分たちで維持していくという意識や所属意識が醸成されるとともに、クギを踏み抜いたりしないよう遊び場のリスクマネジメントもできているんです。すぐにでも真似をしたい仕組みですね。

最後は、主に冬になると実施頻度が高くなる「手仕事」のワークを体験。飼っている羊の毛をつかったフェルトワークによるオーナメントづくりをみんなで実際にやってみました。

クッキーの型に羊毛を入れ、スポンジの上で専用の針を使ってチクチク指し続け、羊毛どうしを絡めていくワークなんですが、これまたはじめるとみんなどっぷりと自分の世界に入ったり、あるいは慣れてくると作業しながら楽しそうにおしゃべりしたり。。。近年なかなか見ない光景を眺めながら、暮らしや手仕事の重要性を改めて感じた午後でした。

アカデミーにもこうした子ども&青少年育成空間が生まれるよう、頑張っていきたいと改めて感じた1日でした。

明日はそんなAntjeさんをアドバイザーに、morinosのこれからを考える公開会議を実施する予定です。

なんちゃって先生 萩原・ナバ・裕作