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2025年09月17日(水)

地域林業に触れる:地域見学実習(中津川市加子母)

 

 

エンジニア科1年生の「地域見学実習」では、連携協定を結んでいる中津川市様の協力で
宿泊実習を行いました。見学先は『加子母』です。ここ加子母には、林業・木材市場・製材工場・式年遷宮で使用される木材を伐り出す備林など様々な見どころがあります。

まずは、中津川市林政課の田口さん、そしてアカデミーのクリエーター科OBでもあり加子母出身の中島創造さんから 加子母についての基礎情報をレクチャーしていただき、森の所有形態の特徴や完結型の地域林業についてを理解したうえで、現地見学がはじまりました。

 

最初に訪れたのは、名古屋市民の森。名古屋城本丸御殿の復元には、大量の木曽・裏木曽のヒノキが使われました。ここではNPO法人かしもむらの伊藤さんに江戸時代からの森林資源保護を目的とした留山(とめやま)という制度や、現況を説明いただきました。

森を見た後は、伐採後に原木が運び込まれる加子母森林組合の木材市場を見学しました。安江参事からは木材の価格が大きく変化してきた歴史や現状を学びました。

次に、(株)マルワイ製材所を見学しました。日下部章さんから原木が製材されるまでに行程を案内いただきました。背景に見えるのは原木の皮むき機。

皮をむかれた丸太を製材機で角材にしていく作業

製材後の木材に散水している様子。乾燥させたいのになぜ散水?と疑問に思っていましたが、最近は角材に背割りを入れないのが主流のため、乾燥時に割れをコントロールするための工夫とのこと。説明してくださったのは、エンジニア科の卒業生の加藤さん。

製材行程の次には、プレカット工場の見学をしました。中島工務店工場を駒田薫工場長にご案内いただきました。ロボットによるプレカットだけではなく、宮大工などの高い技術の手作業によって、多様なニーズに対応していました。

一日の終わりに、加子母でのアカデミー卒業生の取り組みを紹介いただきました。写真はエンジニア科8期生の中津政守さん。架線や高所作業を活かした仕事を幅広く実践されていました。また最初に見学した加子母森林組合に就職したエンジニア科20期生の林杏実菜さん、側島優希さんにもお話をいただきました。

夜は名物けいちゃんを頂きながら、卒業生や地元の方と交流しました。

2日目

あいにくの荒天で神宮備林の見学ができなくなったため、ゆっくりと加子母の歴史文化にふれることができました。 まず、かしも明治座を見学。桂川洋策さんに、明治27年創建の芝居小屋を案内していただきました。

板葺き屋根は20年に一度は葺き替える必要があるそうで、屋根材としてのへぎ板の寄付にEn科25期生として協力させていただきました。

江戸時代から加子母を含む尾張藩の直轄林を管理する「山守」を代々つとめてきた内木彦七家(山守資料館)を見学。その子孫でもある内木哲朗さんに山守の仕事や地域のことや、築250年と言われる屋敷の解説をしていただきました。

内木家の前で記念撮影。

ボリューム満点な内容ですが、「加子母」という地域の魅力をたくさん感じることできた2日間でした。
今回、天候の理由で見学できなかった神宮備林については、中島創造さんのご厚意により、学生有志でリベンジすることが出来そうです。

最後に学生の感想をいくつか。

「近くにありましたが、なかなか来る機会がなく、初めて来ました。こんなに近くにこんなにいい文化があると初めて知りました。とても楽しかったです。」
「地域での完結型林業を実際に見学することができた。また、林業という産業への考え方が変わったような気がした。地域での関わり文化について色々なところへ行って調べてみたい。」
「今回の授業で加子母の魅力をたくさん知ることができた。川上から川下までしっかり見学できたのは初めてだったので、経験できてよかった。」


半年間学んできたアカデミーの学生にとって机上ではない地域に根付いた森林や木材に触れる2日間どのように受け止められたのでしょうか。

改めて貴重な機会を提供くださった中津川市の林業振興課の皆さま、コーディネートをしてくださった
NPO法人かしも村の伊藤様・中島様 本当にありがとうございました。

報告:谷口吾郎