授業紹介(フェノロジー調査)
クリエーター科森林環境教育専攻の専門科目、「フェノロジー調査」が始まっています。この実習では、アカデミー周辺で一定のコースを回りながら出現した生物をできるだけ記録する、ということを1年を通して行います。昨年1年間受講した2年生の森田水加穂さんがレポートしてくれました。
柳沢直(教員)
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森林環境教育専攻で開講されている「フェノロジー調査」。この授業は月1回程度、通年で開催されます。毎回同じルートを歩き、そのルート内で見られる生物(樹木や草花、虫、鳥など)を同定します。季節ごとに見せる姿が変わっていく、生物たち。1年間を通して調査するからこそ、見えてくるものがあるこの授業。1年間、調査してみての感想を森林環境教育専攻みかほがお送りします!
ルートは、日当たりがよいところ、乾燥地、湿地、影が多いところ、森などなど。歩き回る環境が多様であるからこそ、1年間多様多種な生物と出逢うことができました。1年振り返ると、多くの生物の、さまざまな状態を知れて、とても豊かな授業だったなあと思います。
学生によって、見つけるものも、気になるものも違うけれど、そこに合わせながら、柳沢先生や津田先生が話をしてくれました。面白くて、ほっこりして。このほんわかした時間と空間がとても心地よかったです。
そんな「フェノロジー調査」で感じたこと、経験したことを記してみます。
① 季節の巡りが感じられる
春にあれだけ華やかなに咲いていたお花。枯れ、冬には葉を地面に這わせている。
いつの間にセミが鳴いているかと思ったら、鳴き声が聞こえなくなったり。
樹木の葉も、季節ごとに大きさも、色味も、なんだか違う。
「フェノロジー調査」の授業を取っているからこそ、生物たちの変化により気づくようになった気がします。
“この間見かけた時と、なんだか変わったねえ”と気付けると、なんだかその生物との距離が縮まった気がして、嬉しい感じ。
② その季節をその時その時、めいっぱい味わいました。
春は生き物の芽吹き、梅雨は水に喜んで光っている感じ。
夏は暑さにまいりながら、秋に準備している姿。
秋は豊かな恵みがたっぷり。葉の色づき、たわわな実たち。
冬は寒かった。植物も寒い中、耐えている感じを受けました。
その季節らしさ、みたいなものを感じる感性が磨かれていった気がします。
③人間の生活との繋がり、他の生物との繋がり
なんでこの場所で生きているのか、なぜこの行為をするのか?
それぞれ理由がありますが、それらを知る機会になりました。
人間の生活と身近な生物もいました。「この花が咲いたら、・・・の準備をし始める」など。
カレンダーや時間など、決められたものの中で生きるのではなく、
生物同士が関連し合いながら生きていた生活を感じられました。
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フェノロジー調査を通して、「1つの生物に着目してその経過を見ていくこと」、「その変化にどんな要因があるかを考えること」を、以前より意識して行うようになったような気がします。私が専門としている保育の世界でも一緒(対象が子どもや人なだけで)だなあと思うけれど、対象が人以外の生物になったとたん、私にとっては少し避けていたような・・・。人と比べて、反応が見えにくい、捉えにくい、って感じていたからかなあ・・・これまで「森が好き」ではあるんだけれど、その森を構成する具体的な生物1つひとつに着目できていなかったような気がします。フェノロジー調査やアカデミーでのさまざまな出逢いが、今、私に「もっと森のこと、生物のこと、踏み込んで具体的に捉えて!」と温かく、でも切実に語りかけてくれているように感じます。2年生になった今、まずは環境教育専攻がフィールドにしている場に佇み、どんな状況の中でどんな生物がどのように居て、生長しているかを見て、知って、感じていきたいと思っています。
私は、将来「自分って悪くないよなあ」「人っていいなあ」「自然っていいなあ」と繋がりが感じられるコミュニティを創りたい!という野望を持っています。今はそのための準備期間。めいっぱい自然のこと、具体的に知っていき、人間が送る生活とどう関連があるのか、深めていきたいです。
クリエーター科 森林環境教育専攻2年
森田水加穂(もりたみかほ)