活動報告
2020年05月08日(金)

エゴノキの資源量調査〜和傘づくりを支える地道な活動

「今年も何とかなりそうだ、良かった良かった」。

ゴールデンウィークのある暖かい日、美濃市の瓢ヶ岳でエゴノキプロジェクトの実行委員たちが交わした言葉です。エゴノキプロジェクトとは、毎年11月下旬に和傘部品の「傘ロクロ」の原材料となるエゴノキを、全国の和傘職人・和傘関係者、里山を守る地元の人たち、森林文化アカデミーの教員・学生が協力して収穫するイベントのこと。毎年ここで200〜300本(長さ2メートル換算)のエゴノキを伐り、それが岐阜で傘ロクロに加工され、日本中の和傘づくりを支えています。

エゴノキの若葉が鮮やかでした

エゴノキが豊富に育つこの森の一角で収穫を続けて、もう8年になります。最近は本数が減ってきて、そろそろ別の場所を探さなければならないかもしれないということで、この日、資源量調査をすることにしたのです。

集まったのは、傘ロクロ職人の長屋一男さん、その後継者候補として今年から働き始めた近藤智弥さん、和傘職人の田中美紀さん、河合幹子さん、神谷文与さん(アカデミーOG)、林業家の澤田良二さん(アカデミーOB)、そしてアカデミー教員の柳沢教授と私(久津輪)です。長屋一男さんは最近NHKの番組で「日本最後の職人」と紹介されましたが、最後になってしまわないよう、いま後継者を育てています。

和傘部品に適する直径は4〜6cm。調査では、もう少しで適寸に育つもの(3.5cm以上)に青テープ、今が伐り時のもの(4~6cm)にピンクのテープを巻いていきます。GPSを携帯し、どのエリアに何本あるかを数えます。

だいぶん減ったと思っていたのですが、細かったものが少しずつ育ってきていました。下の写真のように適寸のものが6本も並ぶのを見るのは久しぶりです。

また、過去に伐った株から芽が出て、元気に育っているものも多くありました。このようにたくさんの芽が競うように上へ伸びると、部品づくりに適した真っすぐな樹形に育つのです。芽がシカやカモシカに食べられる被害が多発しているのですが、生き残った株もたくさんありました。

朝9時半から午後3時ごろまで手分けして歩き回り、200本以上の適寸のエゴノキを見つけることができて、冒頭の「良かった良かった」という言葉になったというわけです。最近は華やかな岐阜の和傘が注目を集めていますが、裏では職人さんたちが自ら森に入り、こんな地道な活動を続けています。

9年目のエゴノキプロジェクト、秋の収穫が楽しみです。

久津輪 雅(木工・教授)


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