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2017年07月04日(火)

生態系サービスと森林の公益的機能

クリエーター科の共通科目には「生態系サービスと森林の公益的機能」という科目があります。岐阜県立森林文化アカデミーはもちろん林業の振興が目的の大きな柱の一つではありますが、林業の果たす役割は木材生産だけにとどまりません。それを学ぶ事がこの授業の目的です。

授業ではまず生態系とは何か学んだあと、生態系サービス(Ecosystem Services)の概念について説明します。端的に表現すれば、生態系サービスとは、人間が自然から得ている恵みのことです。現代社会において人間は意識するとせざるとに関わらず生態系サービスを享受して生活しています。さらに生態系サービスの実例について学び、それを支えている生物多様性についても勉強します。森林がもたらす木材・山菜や、土砂の流出防止、河川流量のコントロール、森林空間を使った各種プログラムなど、森林に関連する具体的な生態系サービスも重要です。従来から言われている「森林の公益的機能」は、この生態系サービスの中に位置づけることができます。

土壌の透水性を測定中

林野土壌でない場所で透水性を測定しているところ

 

最後に森林の公益的機能の一例として、森林と周辺の温度測定(気候の緩和)、森林土壌の浸透能の測定(河川への降水流出ピークの平準化)を実際に野外で行って授業は終了しました。難しい話と思ったか、それとも聞き飽きた話だと思ったか、感想は学生それぞれとは思います。いずれにせよ健全な林業経営が行われている森林からもたらされる恵みはすべての国民が享受しているということを、学生は森林文化アカデミーを卒業したあとに様々な場面できちんと説明できなければなりません。これを機に学生の皆さんはさらに学びを深めて様々な人に森林と林業の大切さを伝えていって欲しいと思います。

教員 柳沢直