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2020年04月16日(木)

自力建設「Cobiki」用家具、レールカバー完成しました

既に自力建設Cobikiもほぼほぼ完成という状況(整地、サンディングを残すのみ)ですが、仕上げ作業と並行して簡易製材機ホリゾン使用に向けた「レールカバー(仮称)」の製作に取り組んでおりました。

まずは出来上がった渾身の出来栄えをご覧ください。

 

Cobikiと同様、スギとヒノキの混合構成で、全部で6台。左3台の白っぽいものがヒノキ、右3台がスギを使って製作したものです。写真だとわかりにくいかもしれませんが、45mmの板の厚みがあるので、かなりどっしりと安定感のある造り。このサイズ感も大きな部材が使用されているCobikiとうまくマッチするのではと期待しています。

「レールカバー」の使い方
便宜上「レールカバー」と呼んでしまっていますが、実は製材した木材の一時的な置き場所としての使用を想定しています。ホリゾンのレール後方をこれらで覆うことで、レール前方で製材した木材をそのままこのレールカバーに置くことができます。

製材をしたことがない方はあまりイメージがつかないかもしれませんが、1本の丸太から結構な重さの板が複数枚できます。作業時にはその製材された一枚一枚の板をどかしながらの作業となるため、その置き場所に困るだろうと想定し、このようなレールカバー(一時木材置き場)が出来上がりました。
ぱっと見にはなんの変哲もないベンチに見えてしまうので、もしかしたら作業中の休憩場所になるかも。実は座ってもちょうどよい高さに仕上がっています。

レール全長は6m。そのうち約2mがこのカバーに覆われます。

 

デザインが決まるまで
ただ板を繋ぎ合わせただけに見えますか?簡単に作れそうでしょうか?確かにそうかもしれません。なんといっても造りは非常にシンプル。家具職人であれば、それこそそんなに手間を感じずに作り上げてしまうかもしれません。ですがまずはこのデザインに決まるまでが大変でした。

目的が単なる木材置き場というシンプルなものだけに、板を繋ぎ合わせてビスで留めるだけでもいいと言えば、いい。その辺をどこまでやって、どこまでやらないかを決めるのにも結構な時間を要しています。作るものが小さいからと言って、デザインする工程も同じく小さくなるわけじゃないんですね。

というわけで、今回は木工の先生の全面的な協力を仰いでいます。外観にはビス、釘などは見えないようにし、強度的にもかなりの重みに耐えられるよう幕板、隅木を入れるなど工夫しています。

よくよく見ると各板材もすべて面取りしているんです。この辺も、もし我々だけでは外からビスで打ってしまって終わりになっていたかも……。木工視点で見ると、木の使い方にも新たな発見があります。

材料はもちろん自力手配

もちろん材料もアカデミー内で手配。ヒノキはCobikiの前面にあるルーバーを作成した端材を使用。スギは県内で東京オリンピック用に準備されたものの使用されなかった材料からの流用です。

天板と脚については幅が足りないことから接着剤を使用し、300mm幅の板を作成。この辺の作業はCobiki本体で何枚も製作してきましたのでその経験が活きます。

加工前の端材の状態。表面はザラザラ。長さも厚みもバラつきがあります。

手前ではプレーナーで板の面をキレイに整え、奥では幅を揃える作業をしています。

完璧な仕上がり!と思ったら問題も……
実はできたそばから天板と脚の接合部に若干の隙間ができてしまいました。最初は自分達の施工精度に問題があったかとも思ったのですが、どうやら既に板に反りが出てきていたようです(もちろん我々の力量不足という説も否定はしきれませんが)。

これまでも板の曲がり、反りには散々悩まされてきましたが、今回は材も小さく、問題ないかと思っていただけに、木材を扱う難しさを改めて痛感。一先ず大きな問題となるほどではないので、良しとしましょう。

反りだけでなく、小口には小さな割れも……。

と、他にもここには書ききれない難しさも多々ありましたが、なんとかかんとか桜を背景にも映える自慢の出来栄えとなりました。近日中に簡易製材機と共にCobikiへ搬入する予定です。早く製材してみたいですね。

木造建築専攻:下田 大輔