活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2018年11月06日(火)

素材から製品へ「木材・木工の基礎」

エンジニア科2年生の林産業コースでは、選択科目で基本的な木工を体験する実習があります。近年、製材業者や森林組合などから、木製品の製造に関する相談を受けることが少なからずあります。林業分野のこれからを考える上においても「6次産業化」というのが、1つの方向性になっているようです。今回の実習ではそんなニーズも踏まえ、専門的な木工房でなくても比較的導入しやすい技術で付加価値の高い製品を作ることを目指しました。

椅子の材料の色合わせ

これから組立てるパーツの色合わせ

授業の冒頭は、木工における「木の動き」を学ぶことから始まります。プラスチックや金属、ガラスといった素材と木との1番大きな違いは、木は動くということ。そして、その動きには方向性があるということです。これを理解せずに設計された木工製品は使っているうちに変形してしまったり、場合によっては破損してしまうこともあります。実際に変形したり破損した木製品のサンプルを見ることで、木の動きの影響の大きさを知ってもらいます。

今回の実習課題では杉の子ども椅子を製作しました。この子ども椅子は、クリエーター科のNさんが地域材の活用のために、現在、研究・試作に取り組んでいるものです。今回は、モニター調査用の椅子を教員とNさん指導のもと作っていきました。

子ども椅子の木取り作業

精確な寸法、角度で材料の木取り

ドミノジョインターを使ってほぞ加工

ドミノジョインターという機械を使いほぞ加工をしました(木組みの加工)

鉋で材の表面を仕上げます

鉋(かんな)で材の表面をひと削り

子ども椅子の組立て

当て木と玄能(げんのう)で組立てていきます

ステインで着色塗装します

ステインで着色塗装します

杉の子ども椅子(着色仕上げ)

座板を取り付け、杉の子ども椅子(着色仕上げ)が完成!

完成したこの椅子、いかがでしょうか?着色仕上げは好みが分かれるところですが、今回はあえて色を付けてみました。今回、実習内容に着色を取り入れたのは、着色によって木の質感を殺すことなく付加価値化できることを知ってもらいたいと考えたからです。例えば着色をすることで変色が強い材なども有用材として製品化することも可能になります。

この実習の材料は昨年、エンジニア科の学生達が演習林で伐採し、校内の製材所で製材した杉を使いました。自分たちが切り倒した木が実際に製品になるまでを体験することで、どのような木を育てれば良いのか、どのように材を製材すれば良いのか?という視点にもつなげてもらえたら良いと思います。

木工専攻 講師
前野 健