日独連携シンポジウム2025開催です!
本日2025年10月28日から、森林文化アカデミーにて日独連携シンポジウム2025が、NbS(FbS: Forest-based Solutions)によるウェルビーイングな未来を目指して、と題して開催されています。
岐阜県林政部とドイツのBW州の間では以前から連携協定が結ばれていますが、その枠組の中で森林文化アカデミーと、ロッテンブルク林業大学(HFR)の間に連携協定が結ばれています。
本日のシンポジウムは、2部構成になっており、前半はHFRの Bastian Kaiser(以下カイザー) 学長より、記念講演をいただきました。後半は「今後の森林・林業・木材・産業界が目指すべき姿とそれを担う人材」と言う題で、カイザー学長、森林文化アカデミー特別招聘教授末松広行氏、住友林業執行役員でサステイナビリティ推進部長の飯塚優子氏、そして涌井学長を交えて本学の松井匠准教授をモデレーターにトークセッションが行われました。
記念講演
HFRのカイザー学長からは、いくつかの視点でHFRでの教育について語っていただきました。その中で、1713年にザクセン州の森林官で森林管理における「持続可能性」の概念を初めて定義したCarl von Carlowitz に言及され、持続可能性の重要性を学生に伝えているとのことでした。
また、地球温暖化や樹木の伝染病など、自国内だけでは解決できない問題が数多くあり、林業にも国際的な視野が重要であるとおっしゃっていました。
特に共感できたのは、学生は林業の現場で起こることよりも、はるかに広い範囲のことを学ぶ必要がある、との考えでした。それは多くの人に林業や森林の重要性を理解してもらうためであったり、森林・林業に関する様々な問題を解決するためだったりするわけです。それを実現するためにHFRでは徐々に学部を増やして様々な分野から教員を採用することで、学際化国際化をはかってきたそうですが、国内の林業技術者育成学校で唯一林業以外の教育分野を擁する森林文化アカデミーに通じるものがあるように感じました。
学生からの質問では、ドイツでの大面積皆伐に関する質問があり、HFRのハイン教授から「地域の生態系に合わせた規制が州ごとに行われている」旨の回答がありました。
トークセッション
トークセッションは末松先生から日本の林業の現状と将来について、飯塚優子先生から住友林業の歴史や会社の取り組みについてお話があり、その後涌井学長の「(森林を含めた)植物は地球の生態系の母体である」というお話のあと、会場からの質問も交えながらセッションが進められました。
参加学生からの質問で、ドイツ人の森林観について尋ねられたカイザー学長が「ドイツの絵本にはほとんどすべてに森が登場する」「たいていロマンチックな文脈で」と答えておられました。多くのドイツ人は森が大好きだが、科学的に森林を理解したり、林業について理解しているわけではない、そのギャップを埋めるのが我々の役割だ、とのことでした。
一方でドイツ側からは、ドイツで最近増えている小規模バイオマス暖房の日本での可能性について質問があり、末松先生が、「日本のバイオマス利用は発電から始まったので補助も手厚い」「しかしもっとエネルギー効率のよい熱利用にこれから力を入れていくべきだ」との返答がありました。
また、ハイン教授からは、住友林業や森林文化アカデミーの国際化について質問がありました。日本側からは、それぞれが国際化の意味と可能性についてお話されていました。
セッションは時間をオーバーして白熱した議論が交わされました。とてもここではすべて紹介しきれませんが、森林文化アカデミーとドイツ・ロッテンブルグ林業大学の交流の一端を感じていただければ幸いです。

森林文化アカデミーでは只今学生募集中です。
11/8(土)〜11/9(日)の学園祭では、オープンキャンパスも同時開催中です。学生とともにアカデミーの雰囲気を肌で知っていただけると思います。この機会にぜひ皆さんアカデミーのある岐阜県美濃市までお越しください。
教員:柳沢直
