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2023年03月28日(火)

伝えたいを具現化する(森林空間利用の事業化 第2回目)

<2023.1.27> クリエーター科・森林環境教育専攻の「森林空間の事業化」の第2回目を実施しました。

今回の講師は下呂市で「小坂の滝巡り」など、様々なアウトドア・アクティビティをてがける216 WORKS(ニジイロ・ワークス)代表の熊崎潤(くまざき・じゅん)さんです。

幼い頃に「小坂の滝」に惚れ込み、いつしかここをガイドしたい、と事業を立ち上げられた熊崎さん。会社名も、「小坂で数えられているものが216滝」から来ているそうです。

そんな熊崎さんが惚れ込んでいるのが「小坂な冬の滝めぐり」。冬の寒さで凍りついた滝を見に行くツアーです。・・・と聞くと、「ワー、楽しそう!」と単純にワクワクしますが、アカデミーの授業なので、運営側の視点でガイドツアーに参加します。クリエーター科1年4名が参加しました。

授業を実施したのは、今シーズンのツアー開始日の前日ということで、ガイドのみなさんも今シーズン初の氷瀑ツアーです。プロのガイドの案内で、全員楽しく登山。年明けてから暖かかったそうで例年より凍り方が遅い、という氷瀑もとてもきれいでした。往復約5時間の行程も程よい疲れくらいで、ツアー終了となりました。

授業テーマでもある「森林空間の事業化」の視点で見ると、熊崎さんの事業は「既存の森林を活用して、新しい価値を生み出す」ということをされています。実際、コロナ禍の前はインバウンド需要がとても高かったそうです。

着眼点だけではなく、それをツアーとして成立させるスキルも必要となります。我々が歩いた道は、雪に埋もれた森で、目印はなく、道らしい道はありません。我々はガイドのみなさんが1週間かけてルートをつくったところを、全く意識せず歩いていました。スノーシューを履いていたとはいえ、こうした下準備があったから歩けていました。また、どうやって”道なき道”にルートをつけるのか、と質問したところ、熊崎さんは「普段通って森を覚えていることと、長年の経験」とおっしゃっていました。

それらに加えて、長時間のツアーの間、参加者の安全を確保しながら、疲れを意識させず、そして「楽しませる」というガイドのスキルもあって、我々が体験した「小坂な冬の滝めぐり」が成立しています。

ツアーが終わって、さらに1時間半をかけて216 WORKSさんの事務所に戻り、事業運営や組織経営についても伺うことができました。また、本日のツアーは手間と労力がかかるそうで、ではなぜ冬の滝を見に行くのかという質問に、「1年でほんの僅かな時間しか見られない景色。本当に素晴らしいから、みんなに見せたいじゃないですか」と熊崎さん。ステキです!

「森林空間の事業化」とは?の、大きなヒントをいただいた1日でした。
熊崎さん、みなさま、本当にありがとうございました。

准教授 小林謙一(こばけん)