活動報告
2018年02月20日(火)

2017年度課題研究公表会 2日間

クリエーター科にとって岐阜県立森林文化アカデミーでの2年間の集大成、課題研究公表会が始まりました。

今年は2日にわたって開催され、一日目は15名が、二日目には7名(病欠で6名になりました)が発表に臨みました。

まず学生が発表する前に、涌井史郎学長が外来の聴講者への感謝、発表する学生へのエールが送られました。

 

 

一番手は『川から見る森づくり活性化の提案』と題して、坂口 さんが発表。

岐阜県郡上市の郡上漁協の「長良川源流の森育成事業」や広島県での「漁民の森づくり」、高知県での「千年の森作り事業」などを紹介すると共に、岐阜県でのアンケート結果では若い漁業者は森に関心がないこと、関心を持ってもらうには何をしたら良いかなどを提案しました。

 

 

2番手の鈴木さんは『森林獣害問題における捕獲対策についての考察』と題して、獣害事例調査結果、先行事例、狩猟活動の実践などを報告。

「林業従事者が捕獲者になれるのか」という切実な問題について、様々な角度から切り込みました。

 

 

林業の会社全体で獣害対策として捕獲に取り組んでいる事例から、会社の社員全員が一丸となってことなども報告してくれました。

 

 

3番手の南さんは『東京おもちゃ美術館 誕生祝い品作りへの提案』と題して、木育キャラバンなどで集積したデータも利用しながら、「情報の見える化で伝わりやすいツール」「贈り手や子どもたちの意見を聞く手順」「継続すること。持続を意識した木育は、ものづくり、人づくり、地域づくり」などを発表しました。

 

 

4番手の松井さんは『植栽時の品種選択への提案』と題して、スギ精英樹特性表の作成について発表しました。

樹木が育つ段階で木材に影響するのは「①環境、②施業、③品種」の3つが影響し、特に遺伝率で考えると樹高成長、胸高直径、ヤング係数、心材含水率、心材容積密度、辺材容積密度の遺伝し、特にヤング率は86%もの遺伝率がある。

 

 

益田2号を見ると、樹高成長に優れ、雪の少ないところで短伐期に向くと言える。

 

 

5番手の本田さんは『副収入としての切り花・庭木生産の可能性について』と題し、サカキに絞って採算の有無にまで踏み込んで研究した結果を報告。

 

地元の山で実際にサカキがどれほど生えており、どれくらいのサカキ枝が継続収穫できるか。市販品の品質はどうかについても研究していました。

 

 

 

6番手の池野さんは『地域材を使った薄板材の可能性を探る』と題し、レーザーカッターを利用して様々なワークショップを開催し、そのなかでデザイナーの役割を再確認しながら、クライアントの要望にどのように応えるのかなどを報告。

 

 

7番手の池富士さんは、『雑木需要向上のためのデータ作り』と題し、椅子部材に利用するための木材の密度、収縮率、曲げ強度を20樹種で実施。

 

 

実際に20種の樹木で椅子を20個作り、今後利用するための樹種特性データを椅子設計の観点から小冊子にまとめる努力もしました。

 

 

乾燥しても収縮しない樹種や、全方向に収縮しやすい樹種、接線方向に大きく収縮する樹種など、それぞれ独特な傾向が現れました。

 

 

8番手の吉田さんは『子どもを真ん中に置いた学び合いの居場所づくり』と題して、前職の中学校教員の経歴から、「木のものづくりを通して人を繋げる」「家でも学校でもない、子どもの居場所」を作るための試みについて報告しました。

 

 

9番手の亀山さんは『木のおもちゃ「トンネルコロコロ」の製作』と題し発表しました。

各務原市の親和木材工業株式会社の「中空木材」を利用して、子どもたちがビー玉を使って中空木材の中を転がして遊ぶ玩具を試作、モニタリング、改良したことについて報告しました。

 

 

10番手は『長良川和船技術継承に向けた取り組み』と題して古山さんが発表。

昨年の5月~7月にアメリカのダグラス・ブルックスさんや船大工の那須清一さんと鵜飼船づくりに挑戦した経験から、那須さんの指導の下、自分で長良川の漁船(コウヤマキ材)を作成しながら造船技術を記録しました。

 

 

この写真が、古山さんが55日を要して作成した漁船。

 

指導にあたって下さった那須清一さんも、娘の世津子さんと一緒にお越し下さり、感想を述べて下さいました。

 

 

11番手は『柿の樹を活用した木工ワークショップ』と題した田中さんの発表。

富有柿の産地である地元のカキノキが後継者不足で利用されなくなる中、剪定されたり、伐採されたりするカキノキの有効利用として、様々なワークショップを実施した結果を報告しました。

 

 

卒業後に「木工機械が使えなくなる」と嘆く田中さんに、元教員で、現在、ツバキラボを営んでいる和田さんが、工房利用を提案して下さいました。

 

 

12番手は『流通しない身近な木を生かす』と題した田中さんの発表。

田中さんは「器づくりに役立つ木材データの収集」を目指して、20種ほどの木材を利用する上での、利点と欠点を紹介しながら、変形を楽しむ器づくりも提案。

 

 

13番手は『自然素材を用いた映像は社会人の心を癒すきっかけになるか』と題した田中さんの発表。

彼女の社会人経験から、現在のストレス社会に対し、自然素材で映像作品を作って不特定多数の人を癒すことを狙いました。

 

 

14番手は『台日文化交流のための木工ワークショップ』と題した陳さんの発表。

 

台湾人である陳さんが、岐阜県の鮎をモチーフにした箸置きや箸づくり、格子柄コースターづくりなどのワークショップを、台湾人や日本人に提供し、同時に両国の文化を語ることで両国の文化交流を深める試みを報告しました。

 

 

15番手は『森林・木材を知るためのグリーンウッドワーク・プログラムの開発』と題した松田さんの発表。

北海道出身の彼女は、地元にふんだんにある広葉樹の新しい利用としてグリーンウッドワークを位置づけ、そのプログラム開発をして、様々な方々を対象に実施した結果を報告。

 

 

一日目の集大成として、涌井学長から「発表の中にもあった雑木と同じように、今回の発表も多様性があって大変面白く、かつ実学に結びついている」と講評を頂き、長い一日を終えたのです。

 

 

さて、本日は二日目です。

全体の16番目は『京漆器木地製作の継承及び、適材確保に向けて』と題した上田さんの発表。

京都の木地職人を目指す上田さんは、その素材である良質材が枯渇する中、どのような用材であれば使えるのか、また使える原材料とするために「木を殺す」とはどのようなことかを紹介しながら、その結果を報告しました。

 

17番手は『住宅改修における基礎改修の円滑化を目指す』と題した玉置さんの発表。

H25年での日本の空き家は825万戸(空き家率13.5%)もあるが、H45年には空き家率30.2%に増加すると言われている。これに反して新築はH25年に99万戸であったものがH45年には55万戸に減少する。

 

 

玉置さん自身が住んでいた住宅を耐震改修するための基礎工事からヒントを得て、様々な実践事例から改修シートを作成したものを紹介しました。

 

18番手は『「木づかい事例集」作成の取り組みについて』と題して八代さんが発表。

木材を使うことをとことん追求し、日本の事例だけでなく、海外の事例などを紹介するロールプレイによる「木づかい事例集」を作成。

 

改良に改良を加え、インスタグラムを利用して不特定多数の人が、その内容を詳しく知ることができるWEB管理を試みたことも紹介。

 

19番手は『地域の雑木の有効利用』と題した鷲見さんの発表。

彼女の地元、郡上市明宝で出会った「樹皮付き積み木」この雑木が利用でき、かつ樹皮付きの魅力、不揃いの形の魅力を、どのように商品化すればよいか。

東京でのワークショップなどを通して、地域の山に関心を持ってもらえる樹皮付き積み木の可能性を報告。

 

20番目は『幼少期の自然体験を広めるために』と題した多田さんの発表。

彼は自然の中で遊ぶには、知識も道具もなくてもできる事に気づき、またドイツのオトマー・フックス教授のスティック遊びにヒントを得てカードづくりを提案。

 

誰でも気軽に使える「枝あそび108インスピカード」というものを開発し、それを様々なワークショップで実践した結果を紹介しました。

 

 

21番手は『市民による里山保全』と題した野田さんの発表。

彼の地元である岐阜市大洞の里山活動団体での活動を通して、生態系調査に基づく地域住民の活動を分析し、新しい管理方法の提案を実施したことを報告しました。

 

本日の発表、そして二日間の発表に対して、涌井学長からねぎらいと称賛ののお言葉を頂きました。

涌井学長は部外から傍聴にお越し頂いた皆さんの支えがあっての研究であること、学生が「織物の経糸(たていと)に、緯糸(よこいと)を入れて紡ぐ」がごとく、現地現物主義に則り取り組んだ結果を評価されました。

 

 

今回発表されたクリエーター科の学生さんたち、それを指導した先生方、データづくりで協力して下さった皆様、最後に発表に向けて準備など奔走してくれた職員に感謝する次第です。有り難う御座いました。

 

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

 

 


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