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2018年01月24日(水)

環境教育やるなら必須でしょ!「簡易製材とチェンソーワーク」(1日目:簡易製材編)

国土の3分の2を占める森林。世界有数の森林国日本に暮らす私たちにとって、森は最も身近で豊かな資源です。さらに石油のように使い切ってしまうものではなく、適切な管理をすれば持続可能に使うことのできる資源でもあります。

私たちにとってそれほど重要な資源でありながら、多くの人にとって身の回りにある「木」と、森の中に生えている「木」がつながっていないのも事実です。また、それら素材となる木を育て供給してくれている林業現場と人々との距離は、農業現場と人々との距離よりも物理的にも精神的にもはるかに遠い現状があります。

そうした中、持続可能な暮らしを伝えていきたい環境教育指導者にとって「森の木」と「暮らしの木」を言葉なしでつなげるのに最適な“プロセス体感マシン”=チェンソー簡易製材機(ロゴソール)を体験する授業と、木を伐倒するためだけではないチェンソーの楽しみ方を体感できるチェンソーワークの実習を2日間に渡って実施しました。

昨年から始まったこの授業、実は環境教育の指導者にとって色々なメリットがあります。

* 頭ではなく、体感を通して森の木と身のまわりの木が一発でつながる。

* 製材プロセスを通して、木の様々な特性や生態を知ることができる

* 林業現場の人の道具と思われがちなチェンソーをもっと身近に感じる。

* 素材としての「木」の可能性が見えてくる。= 色々作りたくなる。

* 森と人をつなぐための手法が色々と浮かんでくる。

などなど。

昨年に引き続き講師としてお世話になったのが、林業専攻の先生、伊佐治先生です。伊佐治先生はご自身でもログハウスを建てられた経験のあるチェンソー使いの達人です。

授業はまず座学からスタート。製材機の説明だけでなく、木材の性質(目の方向、反り、材の取り方など)についてしっかりと学びます。普段は板になってからの状態でしか見てないものが、木のどの部分をどのように切って作られているかを理解できます。

環境教育に関わる人にとって、森の中に生えている木については興味もあるし、よく知っているとは思いますが、こうした木の中身についてや、材としての木の見方を知ることも「暮らしと森とつなぐ」ことを目的にした際には実はとっても大切なことなんです。

たっぷりと木のことについて学んだら、いよいよチェンソー製材体験。このチェンソー製材機、製材所にある製材機とは目的も仕様も全く異なり、山の中の現場に持ち込んで、現場で大まかなサイズの板にしていくためのもの。全体の仕組みとしては、フレームの上にあるレールの上を、チェンソーをスライドさせて丸太を切っていくというシンプルな作りです。どちらかというと、個人が山に入って周りの木を伐って、板にして、その場で小屋を作ったりするのに便利そうです。

まずは皆で作業に最適な場所を選んで設置。そして組み立てます。

お次は、製材する丸太をロゴソールのステージに乗せていきます。ここでは昔から日本の林業現場で使われてきたトビやツルを使って作業に挑戦。慣れない道具を相手に学生たちは苦戦!最小限の力で丸太を運ぶ方法を掴むまでに苦戦してました。

そしていよいよチェンソーによる製材開始。普段使っているチェンソーよりも大きなものを使うので、音もかなりのもの。皆真剣な眼差しでチェンソーをスライドさせていきます。

途中、切っているそばから反り返り始める木も。木の中に閉じ込められていた力が解放されていくことを目の前で体感!頭ではなく、実際に体験していくことで身体に染み込んでいきます。何枚か板を製材する頃には、「今度はこうして挽いてみよう」「こうしてみたら?」とかいう会話も。学生さんたち、だいぶ慣れてきたようです。どんどん活用してもらいたいですね。

このチェンソー製材機、「プロセス」を体感してもらうには最高に便利な道具です。お次はどんな環境教育の現場で活躍するのでしょうか。子どもたちの前でしょうか?出前授業の森の中?それともセルフビルドの現場かな?

次の報告をお楽しみに

 

なんちゃって先生 萩原ナバ裕作