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2022年05月15日(日)

山村経営の人・資源・技術

<2022.5.15> 森林環境教育専攻1・2年の選択授業「山村経営の人・資源・技術」の第1回目を開催しました。今年は、郡上市明宝地域にお邪魔します。森林環境教育以外からも1年生1名、2年生3名が参加し、総勢8名で地域を巡りました。

この科目は、地域に入って様々な方から地域の資源や技を伺いながら、小さくてもいいので自分でなにかプロジェクト化してみる、というものです。

第1回目はまず地域のフィールドワーク。なるべく多くの方にお会いして、地域の方から直接お話を伺います。学生はその中から、自分が気になるもの、探究してみたいものを探します。地域のコーディネートは、明宝の地域密着型中間支援組織「NPO法人ななしんぼ」にご協力をいただきました。

まずは「ななしんぼカフェ」の、コミュニティカフェやシェアキッチン、シェアオフィス、ものづくり工房など、地域のハブになっている施設と機能を紹介。

続いては、明宝気良地区にある明宝歴史民俗資料館へ。地域で使われていた4万点を有に超える民具や道具収蔵しています。
この中から自分が気になるものを見つけて、どのように使われていたのかを地元の方に伺います。教えていただいたのは、原義典(はら・よしのり)さんと末武東(すえたけ・あずま)さん。当時をこの地で生きてきたお二人の話で、一つの道具から当時の暮らしや風景、近代化による里の風景や文化の変化など、様々な情景が浮かんできます。

今回はまずは広く地域を知るため、大喜利的に一つの道具のお話はわずか10分弱しか聞けない・・・。道具に興味を持った人はまた来てね、と、後ろ髪をひかれる想いで次に向かいます。

次に向かったのは、明宝二間手地区の白山神社。地域の土地と人々をつなぐ「カミサマ」の存在と、神社ごとにまつわる建築や道具、里の技などについて、ミニレクチャーをしました。先の資料館にも、祭事に関わる多数の民具が展示されています。

お昼は、明宝畑佐地区にある「自然食泊 愛里」さんへ。地域食材を中心とした美味しいお弁当を頂いた後、女将さんの石田賀代子(いしだ・かよこ)さんの裏庭を見せていただきながらお話を伺います。
そこには畑のほか、「山菜アドバイザー」の資格も取られた賀代子さんが少しずつ移植し始めた山菜などもあり、豊かな里の恵みが詰まった宇宙のようです。

食にまつわる深いお話のあとは、林業に関わるお話も。明宝山里研究会の松山誠美(まつやま・まさみ)さんから、未利用材を薪ストーブユーザーに販売するしくみ「めいほう里山もくもく市場」について。またその活動から発展した明宝温泉とデイサービスセンターのボイラー用の薪納入事業など、山の問題、その活用についての課題や可能性などについて伺いました。

途中、偶然通りかかった同じメンバーの大坪善典(おおつぼ・よしのり)さんから、昨年突然折れてしまった市の天然記念物「善兵衛桜」をどうにか活かせないか、というお話もあり、これもものづくりや環境教育の素敵な素材になるのでは・・・というヒントをいただきました。

最後に、明宝山里研究会さんが薪を納入する、明宝奥住地区の明宝温泉へ。突然の訪問にも関わらず、快くボイラー室を見学させていただきました。ありがとうございます!

明宝地域を駆け巡って、様々な地域の資源と人に出会った1日でした。
本日のふりかえりで、学生のみなさんがそれぞれ興味・関心をもったものは・・・:

  • 山菜
  • たべること
  • 自分の手で暮らしをつくること
  • 木工、器づくり
  • 暮らしに根ざしたものをやりたい

  • 民族資料館の道具に興味あり
  • わらじを作りたい!
  • 「聞き書き」もやってみたい
  • 暮らしの木質化
  • バイオマス

・・・などなど、アカデミー生らしい視点が述べられていました。
中には「明宝の元気な人!」と答えた学生も。

これから明宝地域に通わせていただき、それぞれのプロジェクトづくりにトライしてもらいます。明宝の「生きる力=甲斐性」にあふれる素敵な人々と交流しながら、山村を経営(マネジメント)視点でとらえ、実践的に行動できる人を目指していってください。

明宝地区のみなさま、1年間よろしくおねがいします。

准教授 小林謙一(こばけん)