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2018年02月07日(水)

本当は怖い『マダニ』によるウィルス感染

 近年よく耳にするマダニによるウィルス感染。野外にはごく一般的に存在するのに、ほとんど知られていないマダニとそれによる感染について、宇都宮大学の雑草と里山の科学教育センターの竹田努先生に、講義と抗体検査を実施して頂きました。

 

 

 マダニの感染症によって死亡事例も多々あります。

 新しいウイルス(SFTSウイルス)を保有するマダニに刺されることによって引き起こされます、「重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)」やリケッチアや細菌など病原体を保有するマダニに刺されることで感染する「日本紅斑熱」「ライム病」「回帰熱」また、「つつが虫」に刺されることによって感染する「つつが虫病」などが主な病気です。

 近年、獣害対策で農地などに柵をする結果、獣が柵のない道路沿いをさまようことと、根本的にマダニを運んでいる野生動物が増加したことで、今まで以上に「人がマダニに出会いやすくなっている」と言えます。

 

 マダニはすべてが感染症を引き起こすわけでもなく、感染確率もごく稀であるとは言え、万が一感染すると重症や死亡に至ります。マダニは卵から孵ったあと、2回脱皮して「幼ダニ」、「若ダニ」、「成ダニ」の3成長形態をとります。

 

 「幼ダニ」は地表面近くに生息するためノネズミなどの小動物を宿主とし、「若ダニ」は地上20~30cmほどに生息するためキツネなどの中型動物を宿主とし、「成ダニ」は地上50~100cmほどを生息域にするためシカやイノシシなどを宿主とします。

 こうしたマダニでウィルスを持ったものに加害されると、症状としてインフルエンザに冒された症状に似た、体のだるさや発熱が伴います。

 場合によっては、2週間前にマダニに噛まれて、8日前に入院した方が、死亡した事例もあります。

 

 感染による「抗体検査」を関西中心に全国で実施され、今回のデータは岐阜県のデートして蓄積されるとのこと。

 マダニの生態は知らない人が多く、基本的に「吸血のみ」で生きている。場合によっては1年間、吸血できなくても生きることができ、一度吸血できれば1年間生き続けられる。

 

 狩猟者などを中心に調査しているが、感染率は11%にもなる。マダニは噛むと口元からセメント物質を出して、吸血部分を固定するのですが、マダニはウィルスを中腸内に持っているので、吸血して膨らんだ体を火であぶったり、そこをつまんで除去しようとするのは逆効果。 かえってウィルスが入りやすくなります。

 

 すべてのマダニが危険なのではなく、ごく一部のマダニが危険であること。

 出来る限り早期に牙を抜くこと。噛まれたら放置しないこと。それが重要。

 

 今回の抗体検査は、糖尿病の採血セットによる簡易検査で、血漿を検査することで判明するそうです。

 

 箱の中にはピンクの針部分があり、これを中指などに押し当てて指から血液を採血します。

 

 最後に、「マダニの感染症で死なないために」、噛まれた本人はどうすべきか。家族はどう対処すべきか。職場の同僚・会社はどうすべきか。を話し合いました。

 林業的には①通勤着、②事務着、③現場作業着をしっかり使い分けることの重要性も確認しました。

 なんとシベリアの森林作業員の衣服は、フード付きのつなぎ作業着で、仕事が終わるとその作業着を脱いで袋に入れ、車内には入れずに、車のルーフに固定して、帰着後に54℃以上で乾燥させてダニを殺すそうです。

 

 さて、今回のダニに関する調査ですが、宇都宮大学の竹田先生のお陰で、より一層深い知識が入り、入山時に何を気を付けるか。下山時に何をすべきか。思い知らされることとなったのです。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。