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2018年08月27日(月)

今年の「林業事例調査」は京都!

クリエーター科・林業専攻の林業事例調査は、日吉町森林組合を中心に北桑木材センター、京都 北山杉の里総合センター、峰定寺の三本杉を見学しました。

第1日目

・北桑木材センター

ここは、昭和45年に京北の林業振興を目的に創立され、平成29年4月の時点で、通算売上550億円、通算材積170万㎥。市は月三回、6日、16日、26日を原則としています。

木材市場

私たちは、第1562回市、午前10時の開催の市を見学しました。本日の入荷台数は、スギ145台、ヒノキ15台、計160台。せりは、得意先の製材業者が多いようで、手際良くスムーズに行われていました。

7000円~80,000円/m3というような声が聞かれます。これだけの価格差はどこからくるのか、丸太を見ただけではまったくわかりません。目利きの力をつけないといけないと思いました。

「せり」は、伐り出した丸太がお金に変わる瞬間です。市場の情報を川上の現場で正確に把握し、より稼ぐことができる仕組みを皆で考えることが大切だと思いました。また、近年、直接取引を行うケースが増えており、既存の原木市場は厳しい事業環境になっていることも感じました。

 

・京都北山杉の里総合センター

北山杉は、室町時代、応永年間(1394~1427)頃から造林されたといわれています。

皮をむき、加工して作られる「北山丸太」は、千利休により完成された「茶の湯」文化を支える茶室や数奇屋の建築用材として、頻繁に用いられるようになり、今日まで600年の歴史を刻んでいます。

はじめに、北山台杉を見学しました。これは、装飾用の垂木用材となります。

それから、北山丸太や京都地域産材を使って建てられた総合センターで北山林業の概要を伺いました。丸太には、「天然出絞丸太」「ちりめん絞丸太」、つつじや竹、プラスチックで人工的に模様をつけた「人造絞丸太」などがあるそうです。

その後、センターの外に出て、枝打ちの見学、丸太磨きの体験をさせていただき、製品市場を見学しました。

枝打ち見学

丸太磨き

最後に、北山杉の里「中川」の町をご案内いただきました。映画の舞台となった、中川集落の家並みや木造倉庫群など、歴史の深さを感じさせる町並みでした。

町並み

バブル時は100万円近い値を付けたものが、現在は10万円~15万円で売買されているそうです。和室を作らない住宅が多くなった現代とは言え、日本建築の大切な文化を守っているという誇りが、働いている人から感じられました。

 

第2日目

・日吉町森林組合

森林組合の成功事例として有名な、日吉町森林組合を見学しました。

はじめに、事務所内で組合の概要、業務内容、安全管理など全般の説明を受けました。山主さんの森林調査を細かく行い、丁寧に「森林施業プラン」を作成し、「完了報告書」で収支内容を報告するという、一連の流れについて説明していただきました。

日吉町森林組合

事務所はきれいで、現場も良く手入れされており、活気がありました。ここでは、山主さんとの連携や管理手法など、たくさん学ぶ事がありました。

森林組合の現場

森林組合には、山主さんとの連携や信頼関係など、その土地に深く根差した独自の管理手法があると思いました。

 

・峰定寺の三本杉

平安時代末期の久寿元年(1154年)山岳修験者である観空西念によって創建された、峰定寺の「大悲山国有林」内にあるご神木「花背の三本杉」(樹齢1000年)を見学しました。このうちの1本が、2017年11月28日の測定で、高さ日本一の62.3mとされました。

樹高日本一のスギ

神社からスギに向かう途中は、植物同定をしながらの楽しい有意義な時間が過ごせました。

 

報告:元村尚文(林業専攻 1年)